2025年11月4日 | コラム
横浜市港南区の三共住販株式会社です。
最近、「解体工事で出た廃材を不法に投棄したとして、解体業者の元社長らが逮捕された」というニュースがありました(元のニュースはこちらをクリックしてご確認ください)。
「そんなの業者の問題でしょ」「依頼する側は関係ない」と思う人が多いかもしれません。
確かに、法律上の“排出事業者責任”は、解体業者など事業を行う側にあります。この「排出事業者責任」については、環境省の廃棄物処理法の概要ページでも「事業活動に伴って廃棄物を排出する者」が対象とされています。
つまり、住宅の施主(個人)は法律上の排出事業者には当たりません。
しかし、依頼した業者が無許可で廃棄物を処分したり、不法投棄していた場合、行政が調査の一環として施主に事情を確認することがあります。たとえば「どんな契約を交わしていたか」「処分費をどう支払ったか」「許可を確認していたか」などです。
東京都環境局の「解体工事を発注する方へ」でも、発注者に対して“適正処理の確認をお願いする場合がある”と明記されています。
さらに、もし施主が不法投棄を許可したり、違法な処分だと知りながら黙認したり、ここに捨ててもいいと指示したりするなど明確な関与があった場合には、施主自身が法的責任を問われることもあります。
この記事では、以下について行政の指針や法律の根拠を交えながら分かりやすく整理します。
・なぜ施主も気をつける必要があるのか
・信頼できる業者を見分けるポイント
・不法投棄トラブルを防ぐために施主ができること
住宅の解体やリフォームでは、木くず・ガラス・コンクリート・石膏ボードなど多くの廃材が発生します。これらを適正に処理する責任は、法律上は解体業者など事業者側にあります。
また、床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事を発注する場合、施主は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」に基づき、分別解体や再資源化の実施を業者に義務付ける必要があります。この義務があるため、廃棄物の処理が適正に行われたかについて、行政は施主に確認を求める根拠の一つとなっています。
しかし、現実には処分費を抑えようとして、無許可業者に処理を任せてしまうケースもあります。その結果、山林や空き地に不法投棄されるような事件が発生すると、行政は「誰の依頼で発生した廃棄物なのか」を調べるため、施主にも事情確認を行うことがあります。
たとえ施主が直接関わっていなくても、「許可を確認していなかった」「処分費を極端に削った」などの場合、監督が不十分だったとみなされ、説明を求められる可能性があります。
一方で、もし施主が違法な処分を知っていた・容認していた場合には、廃棄物処理法違反として責任を問われることもあります。
つまり、「知らずに巻き込まれるリスク」と「知っていて関与した場合の責任」は、まったく別の話になるということです。
だからこそ、信頼できる業者を見極めて依頼することが、施主自身を守ることになります。
不法投棄などのトラブルに巻き込まれないためには、「信頼できる業者かどうか」を見極めることが何より大切です。以下の3つを意識すれば、トラブルを大幅に防げます。
廃棄物を運搬・処分するには、都道府県知事の許可が必要です。具体的には「産業廃棄物収集運搬業」または「産業廃棄物処分業」の許可を取得していなければ、法律上、廃棄物を扱うことはできません。
依頼前に、必ず業者に許可証の写しを見せてもらいましょう。許可証には、業者名・許可番号・有効期限・処理できる品目(例:木くず・コンクリートがら等)が明記されています。工事で出る廃材の種類と一致しているか確認することが大切です。
また、「解体業登録」と「産業廃棄物の許可」は別の制度です。もし「うちは提携の業者に処理を任せています」と言われた場合は、その提携先が許可を持っているかも確認しておくと安心です。
詳しくは「東京都環境局の産業廃棄物の適正処理について」も参考になります。
「廃棄物の処分も含まれています」と口頭で説明されるケースがありますが、処分方法や費用がはっきり書かれていない場合は注意が必要です。
見積書に、次のような項目が明記されているかを確認しましょう。
極端に安い見積もりには、不法投棄などのリスクが潜んでいる可能性もあります。処分費が適正に含まれているかをチェックするだけで、リスクを大きく減らせます。
口頭での説明だけでは、後で「言った・言わない」になりかねません。契約書や見積書などの書面に内容を残すことが、自分を守る一番の方法です。
契約書には、次のような内容が書かれているかを確認しましょう。
「一式工事」や「おまかせプラン」という言葉だけでは、処分内容が曖昧になりやすいです。実際の処理方法や処分先を書面で明記してもらうことで、トラブルを未然に防げます。また、マニフェストは廃棄物が最後まで適正に処理されたことを証明する「証拠」です。E票の提供を契約書に盛り込むことが、適正処理へのコミットメントを業者に求める最も確実な方法です。
万が一、依頼した解体業者が不法投棄をしていたことが発覚した場合、施主がすぐに処罰の対象になるわけではありません。法律上、廃棄物を実際に排出・処分したのは事業者側であり、施主(個人)は原則として「排出事業者」には当たらないからです。
しかし、行政が現場の経緯を調べる過程で、施主にも確認が入ることがあります。
(参考:東京都環境局「建設工事に伴う廃棄物対策」)
たとえば次のような点です。
・どの業者に工事を依頼したのか
・処分費をいくら支払ったのか
・許可証や契約書を確認していたか
・廃棄物処理を誰が行うと聞いていたか
これは、施主が違法行為に関与していなかったか、または不適切な依頼をしていなかったかを確認するためのものです。
施主が次のような行為をしていた場合には、法的責任を問われる可能性があります。
・不法投棄を知っていながら黙認した
・「どこかに捨てておいて」などと指示した
・処理費を削るために、違法な処理を事実上容認した
このような明確な関与や黙認行為があれば、施主自身も廃棄物処理法違反として処罰の対象になる可能性があります。
逆に言えば、違法行為を知っていない・指示していない施主であれば、法的責任を問われることは基本的にありません。ただし、「知らなかった」で済むようにするためにも、「適正な業者に依頼し、書類を確認しておく」ことが自分を守る証拠になります。
「不法投棄なんて自分には関係ない」と思いがちですが、実際には、依頼した業者の不正処理によって行政調査の対象になるケースもあります。
大切なのは、「自分は適切な業者に依頼し、確認を行っていた」と言える状態を作っておくことです。次のチェック項目を確認しておけば、安心して工事を任せられます。
□ 許可証を確認しましたか?
・「産業廃棄物収集運搬業」または「処分業」の許可を持っているか
・許可証の写しをもらい、有効期限と処理できる品目をチェック
・「解体業登録」だけでは不十分。処分を委託する場合は、委託先業者の許可も確認
□ 見積書に処分費が明記されていますか?
・「廃棄物処理費込み」だけでなく、具体的な金額や処理内容が書かれているか
・処分費が極端に安すぎないか(安すぎる場合は不法投棄リスクあり)
□ 契約書・書面を残していますか?
・廃棄物処理の内容・委託範囲・処分先が明記されているか
・「おまかせプラン」「一式工事」など、曖昧な表現のままになっていないか
□ 工事後の処分完了を確認しましたか?
・工事完了後、マニフェストE票(最終処分終了報告)のコピーをもらうと安心
・廃棄物の品目・数量・業者名などに誤りがないか軽く確認
・電子マニフェストの場合は、データで確認・保存しておく
法律上、マニフェストの管理義務は解体業者にありますが、施主が控えをもらっておくことで「きちんと処理された」証拠を残せます。(参考:全国産業廃棄物連合会「マニフェスト制度について」)
□ 不安があれば相談していますか?
・市区町村の環境課・建設リサイクル担当窓口に相談できる
・「業者の許可を確認したい」「処分費の相場が分からない」といった相談でもOK
解体やリフォームの発注者は、法律上「排出事業者」ではありません。しかし、依頼した業者が不法投棄などの違法行為を行った場合、行政から事情を確認されるなど、巻き込まれるリスクはゼロではありません。
一方で、
・許可を持つ業者を選ぶ
・書面で契約内容を残す
・見積の中身を確認する
・処分完了後にE票を受け取る
この4つを実践しておけば、不法投棄トラブルに巻き込まれる可能性はほぼありません。
「お金を払って終わり」ではなく、「安心して任せられる業者を選ぶ」ことが、施主としてできる一番確実な自己防衛です。
当社は解体工事の建設業許可を受けており、また産業廃棄物収集運搬業の許可を受けているため、解体工事から産業廃棄物の処分まで自社で対応できますので安心してご依頼いただけます。建物の解体を検討されている方はお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。