2026年1月13日 | コラム
「実家を相続したけれど、調べてみたら『市街化調整区域』だった・・・」
「地元の不動産屋に相談したら、『あそこは売るのが難しいです』と言われた・・・」
このように、市街化調整区域にある実家を相続し、どうしたらいいのか分からず困っている方は少なくありません。
市街化調整区域は、「新しく家を建てることに制限がある」「住める人が限られている場合がある」といった法律上のハードルがあるため、仲介では買い手が見つかりにくい土地になります。
そのため、「売れないかもしれない」「相場よりかなり安くなるのでは」と不安を抱える方が多いのも事実です。
しかし、「市街化調整区域=売却できない」というわけではありません。売り方や状況で、きちんと出口を見つけることができます。
この記事では、市街化調整区域の土地売却が難しい理由を整理し、売却に向けて相続した実家の状況を整理するためのチェックリストを用意しました。
もし、仲介での売却が難しい場合でも、不動産会社による買取という選択肢があります。
この記事を読むと以下のことが分かります。
まず前提として、「市街化調整区域=特別な問題がある土地」というわけではありません。
市街化調整区域とは、簡単にいうと国や自治体が「むやみに建物を増やさないように」制限している地域のことです。
日本では、都市計画法という法律によって、土地は大きく次の2つに分けられます。
市街化区域:すでに市街地となっている、または今後10年以内に優先的に市街化を進める地域。家や店舗を建てやすく、道路・上下水道などのインフラ整備も積極的に行われます。
市街化調整区域:市街化を抑制(調整)する地域。農地や自然環境を守ることが優先されるため、原則として建物の建築や増改築が厳しく制限されています。
「建築が厳しく制限されているのに、なぜ私の実家は建っているの?」と疑問に思う方も多いはずです。主に考えられるのは、次のようなケースです。
このように、「例外的に許可を得て建っている家」であることが多いため、一般的な住宅街にある家とは法的な扱いが大きく異なるのが特徴です。
一般的な中古住宅と同じように売却できないのには、主に次の4つの大きな理由があります。
市街化区域にある家の場合、「古くなったら建て替える」「使い道に合わせて建て直す」と考えるのが、ごく自然です。しかし、市街化調整区域はそうではありません。
建て替えには許可が必要:「古い家を解体して、新しく家を建て替えよう」と考えても、建築許可が下りるかどうかは、実際に確認してみないと分かりません。
リフォームに制限がかかることがある:一定規模以上の増築や改築についても、自治体の許可が必要になる場合があります。自由に増改築できない可能性があるため、買い手は慎重になります。
家を購入する人の多くは住宅ローンを利用します。しかし金融機関は、市街化調整区域の物件について「将来的に売却しづらい」「利用用途が限られる」といった理由から融資に慎重になることが少なくありません。
担保評価が低い:金融機関は、返済できなくなった場合、売却して資金を回収できるかを重視します。市街化調整区域の物件は「建築許可の問題」や「制限やリスクの多さ」から売却が難しいため、担保評価が低くなりがちです。
その結果、買い手が「ローン自体が組めない」、「フルローンが通らない」「自己資金が多く必要になる」といった理由で、契約に至らないケースが多くなります。
市街化調整区域の家には、「特定の条件を満たした人だけが住める」という許可が付いていることがあります。
【よくある限定条件の例】
農林漁業従事者の家:農業や林業などに従事する人のため、特別に許可された家。一般の会社員などは、そのまま住めない場合があります。
線引き前からの居住者の親族:市街化調整区域として指定される(線引き)前から土地を持っていた人の親族であれば認められる特例。第三者が購入する場合には、改めて厳しい審査が必要です。
長期間その地域に住んでいる人の親族:多くの自治体で見られる運用で、「長年その地域に根付いた家」を守るための制度です。この場合、「地域と縁のない第三者」が買おうとしても許可が下りないことがあります。
購入者が「特定の条件を満たす人」に限定されるため、一般的な不動産サイトで買い手を探すのは現実的ではありません。
実家で普通に暮らせている以上、「電気も水道も通っているし、問題ないのでは?」と感じる方も多いでしょう。しかし、市街化区域の住宅街とは異なり、市街化調整区域には“特有の負担”があります。
公共下水道が未整備のケースが多い:市街化調整区域では下水道が通っておらず、「浄化槽」を使っている家が少なくありません。浄化槽は毎年の点検費用がかかる他、故障時の交換費用(数十万円〜)などは、すべて所有者の負担になります。
私道のメンテナンス費用:接している道路が「私道」の場合、「舗装の修繕」「水道管の引き直し」「工事などの費用の共有者間での負担」といった問題が、将来的に発生することがあります。
購入して終わりではなく、購入した後もお金がかかる家という見え方になるため、買い手がつきにくくなってしまうのです。
ここまで見てきたとおり、市街化調整区域の家は状況によって「売れる・売れない」を単純に判断できるものではありません。ただし、どの方向性に近いか(仲介向きか/買取向きか)は、ある程度整理することができます。
※買取とはなにかは後述します。
なお、本チェックリストは、売却の可否を断定するものではなく、売却方法を考えるための目安として使ってください。
次の項目に当てはまるものが多いほど、市街化調整区域であっても仲介での売却を検討しやすいタイプといえます。
□ 市街化調整区域に指定される前から家が建っていた(既存宅地)
□ 過去に、建て替え・再建築をしたことがある
□ 家の前の道路が私道ではなく公道で、かつ、敷地が2m以上接している
□ 公共下水道が整備されている、または浄化槽比較的新しく、大きな故障やトラブルがない
□ 周辺にも住宅が点在しており、完全な農地・山林エリアではない
次の項目に当てはまる場合は、行政確認や専門的な判断が必要になるゾーンです。
仲介が不可能とは言い切れませんが、「売却までに時間がかかる」「不動産会社によって判断が分かれる」といった傾向があります。
□ 指定前から居住実態はあるが、既存宅地として扱われるか示す書類や記録がはっきりしない
□ 過去に増築したことがあるが、役所に届け出をしたかどうか分からない
□ 「住める人の条件」について、書面ではなく口頭説明だけで引き継がれている
□ 同じような家が近くにあるが、正式に許可された前例かどうか分からない
これらは、市街化調整区域ならではの行政判断が関係するポイントです。実際には、自治体や過去の運用によって結論が変わるため、仲介とあわせて買取も検討することで現実的な選択肢が広がるケースもあります。
次の項目に複数当てはまる場合、一般的な仲介での売却は難しく、買取を中心に検討した方が現実的なケースが多くなります。
□ 「住める人の条件」が明確に限定されており、第三者への売却が厳しく制限されている
□ 過去に無許可で建てられた、または許可の範囲を超える増改築が行われた可能性がある
□ 公共下水道が整備されておらず、浄化槽も古く、修理や交換が前提になりそうな状態である
これらの条件に当てはまる場合、一般の個人が購入して住み続けることを前提とした売却は、現実的に難しくなるケースが多くなります。
チェックリストで出てきた「買取」について知らない方もいると思います。
不動産会社による「買取」なら、仲介で買い手が見つからない物件であっても、スムーズに解決できる可能性が高いです。ここでは、まず簡単に買取の一般的なメリットとデメリットをお伝えします。
1)迅速な売却が可能
不動産会社や買取業者が直接買い取るため、売却手続きを迅速に進められます。そのため、短期間で現金化が可能です。
2)売却の負担がかからない
仲介のような内覧対応や値下げ交渉への対応などの負担がなく、手間なくスムーズに売却が可能です。
3)契約不適合責任が免責される
宅建業法40条の規定により、売買契約書に明記しない限り売主は建物に欠陥などの瑕疵があっても責任を負わない、契約不適合責任を免責されます。ただし、故意または重大な過失で瑕疵を隠蔽している場合などは、免責されない可能性があります。
4)残置物処分が不要の可能性がある
家財道具やゴミなどの残置物があっても売主が処分せず、残置物を処分する形で買い取ってくれることが多くなります。
1)売却価格が相場より低くなる可能性
買取では、売却価格が相場より低くなる傾向があります。
買取の一般的なメリットとデメリットが分かったところで、チェックリストで【B】や【C】の項目に心当たりがあった方にとって、買取が現実的な選択肢となる理由についてお伝えしていきます。
実際に、チェックリストで確認する中で、「実家はもう売却できないのではないか」と不安に感じた方もいるかもしれません。確かに、複雑な法規制が絡む市街化調整区域の物件を、仲介で一般の個人の方に買ってもらうのは非常にハードルが高いのが現実です。
しかし、だからといって「解決できない物件」だというわけではありません。不動産会社による「買取」であれば、仲介では難しいケースでも前に進められる理由があります。
「特定の親族しか住めない」「条件を満たす人にしか認められていない」、こうした住める人の制限は、一般の買い手にとっては致命的な問題になります。しかし、不動産会社は「その制限がどの範囲まで及ぶのか」「将来的に別の使い方ができる余地があるのか」を、役所と確認しながら整理します。
場合によっては、「住宅以外の用途として扱えないか」「条件を満たす特定の買い手に引き継げないか」といった選択肢を検討し、「住めない=価値がない」状態を避けるための判断を行います。
「次に建て替えられるか分からない」「過去の増改築が、どこまで許可を得ていたのか不明」こうした不透明なリスクがある物件は、仲介ではほぼ確実に敬遠されます。
不動産会社による買取では、過去の書類や経緯を調査し、現状を整理したうえで行政と協議し、どう扱えるかを確認するというプロセスを前提に検討します。場合によっては、「一部を是正すれば整理できるのか」「住宅としては難しくても、別の用途として活用できるのか」といった判断を行い、個人の買い手では引き受けられないリスクを前提に買い取ることが可能になります。
市街化調整区域の不動産売却の壁は、買い手の住宅ローンが通りにくいことです。仲介では、せっかく買い手が見つかっても、ローン審査が通らず白紙になるケースが少なくありません。
一方、不動産会社は自社資金や事業用融資を前提に判断するため、個人の買い手のようなローンの可否に左右されません。チェックリスト【C】のような、個人ではローンがまず通らない条件であっても、スピーディーに現金化できる点は、買取ならではの大きな特徴です。
市街化調整区域にある実家を相続した場合、「売れないかもしれない」「どう進めればいいか分からない」と不安に感じるのは、ごく自然なことです。
実際、市街化調整区域の不動産は、
といった理由から、一般的な仲介では売却が難しくなるケースが少なくありません。
ただし、市街化調整区域=必ず売れない というわけではありません。
この記事で紹介したチェックリストのように、
は、ある程度整理することができます。
特に【C】に当てはまる場合は、無理に仲介にこだわるよりも、問題を整理できる不動産会社による買取を検討した方が、結果的に「時間がかからず」「トラブルも少なく」「精神的な負担も小さい」ということも珍しくありません。
市街化調整区域の売却に限りませんが、相続した実家を空き家のまま、判断を先送りにすると別の問題として空き家のリスクが発生しかねません。
実家の売却を後悔のない形で進めるためにも、早めに現状を把握し、自分に合った売却方法を見極めていきましょう。
当社は物件の状況にあわせて、仲介での売却・買取・土地活用などお客様にとって最適なご提案をすることを大切にしています。ご相談は無料ですので、市街化調整区域にある相続した実家でお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。