相続した土地に他人が住んでいる?底地は所有or売却の判断フローチャート付き

2025年9月20日 |  コラム

親の土地を相続した。親が所有していた土地には、他人が家を建てて住んでいるのは知っている。
だけど、生前に親から詳しく話を聞いていなかったので、正直、相続した土地のことをよく分かっていない。

この記事を読んでいる方は、このような状況なのではないでしょうか。

「相続した土地は普通の土地とどう違うんだろう?」
「家を建てて住んでいる人と自分はどういう関係になるの?」
「相続した自分がなにか手続きをしないといけないのか?」
「このまま所有するのがいいのか?将来のために売却した方がいいのか?」

きっと、さまざまな疑問が頭の中に浮かんでいるはずです。

不動産の世界では、このような土地は「底地(そこち)」と呼ばれます。

多くの方は、初めて聞く用語で不安を感じるかもしれません。でも、底地について専門的に理解する必要はありませんので、心配しなくて大丈夫です。大切なのは、あなたが相続した土地の状況を正しく把握して、今後どう対応するかを判断できるようになることです。

この記事を読むことで次のことが分かります。

  • 最初に確認すべき資料
  • 底地の基本的な特徴と、所有し続けたときに起こり得るリスク
  • 売却を考えるときの現実的な選択肢
  • 「所有すべき売却すべきかの判断ポイント

相続した土地について最初に確認すべき書類【チェックリスト】

次の4つの書類等を確認することで、あなたが相続した土地がどんな土地なのか、どんな状況なのか大枠を把握できます。1項目ずつチェックをしながら確認していきましょう。
※印刷してチェックをしたい方はこちらをクリックしてチェックリストをダウンロードしてください。

登記事項証明書(登記簿謄本)

底地かどうか分からない・確信がもてない場合は、法務局で登記事項証明書を取得して、以下の内容を確認してください。

☐ 土地の名義が「被相続人」または「相続人」になっている
☐ 建物の名義が他人(借地人)になっている

両方にチェックが付いた場合、土地と建物の名義が別になるため「底地」の可能性が高いです。

※相続後に土地の名義変更をしていなければ、名義は被相続人になっています。
※2024年4月1日から「相続の開始および不動産の所有権を取得したことを知った日」から3年以内に、相続登記(名義変更)の申請をすることが義務化されています。忘れずに手続きをしましょう。

借地契約書(底地の「土地賃貸借契約書」)

土地と建物の名義が異なり、借地契約を交わしていれば底地ですので、借地契約書を探してください。契約書には細かい条項がたくさん書かれていますが、地主側として特に影響が大きいのは 「収入(地代)」と「将来的な借地人との交渉リスク」 ですので、まずは以下の4項目を確認してください。

☐ 契約期間と契約の種類はどうなっているか
☐ 地代の金額と支払い方法はどうなっているか
☐ 更新や建替えの条件(更新料・承諾料があるか)はどうなっているか
☐ 解約・譲渡に関する取り決め(承諾が必要か、承諾料の有無)はどうなっているか

最低限この4つの記載内容を確認すれば、相続した土地の状況を把握するうえでは十分です。

※借地契約書がないとトラブルが発生したときに解決に向けた根拠が不明確になるため、どうしても見つからない場合は借地人と合意のうえ再作成するのがベストです。

通帳(地代の入金状況)

借地人の状況や今後の管理の手間を把握する1つの観点として、契約どおりに地代の支払いが行われているか、過去に滞納がなかったか確認しましょう。なお、借地契約書が見つからない場合、毎月の入金があることで底地とほぼみなすことができます。

☐ 地代の入金履歴を通帳で確認する
☐ 過去に滞納はあるか(あれば回数・頻度はどのくらいか)

固定資産税の納付通知書

不動産を所有することで発生する固定資産税・都市計画税について、納付通知書で確認してください。

☐ 固定資産税・都市計画税の金額はいくらか

毎年の実際の納税額を把握できればOKです。地代収入との比較による収支については、「底地を所有し続けるリスク」の章で解説します。

この4つを確認すれば、相続した土地の状況を整理できます。次のステップは「底地の基本的な特徴」を押さえて、所有を続けるべきか売却すべきかを考える段階です。

底地の基本的な特徴

相続した土地が「底地」だと分かったら、まずはその基本的な特徴を押さえておきましょう。

地代収入はあるが金額は小さい

底地の所有者は、借地人から収入として地代を受け取ります。しかし、地代は固定資産税・都市計画税・その他経費の3~4倍程度が目安とされているため、地代から税金や費用を差し引いた収益はアパートや駐車場経営などと比べて非常に低く、利回りが低いのが一般的です。

固定資産税や都市計画税の負担がある

土地の所有者ですので、毎年、固定資産税や都市計画税を支払う必要があります。上記のとおり地代収入が少ないため、税負担と釣り合わないケースも多いです。

土地の自由な利用・活用できない

建物を所有している借地人は、借地借家法によって保護されています。そのため、借地人の同意なしに更地にしたり、自分が住むための住宅を建てたり、アパートや駐車場経営をするために用途を変更するなど自分の土地とは言え自由に使うことはできません。また、正当な事由なく立ち退きを求めることはできません。

相続税の対象になる

(今回ご自身が経験されているとおり)一般の土地と同様に、相続すれば相続税の対象になり、相続税を支払う必要があります。なお、小規模宅地等の特例を適用でき、相続税の評価額を最大50%減額できますが、一般的に底地の相続税評価額は実勢価格より高いため、相続税の負担が重くなる可能性があります。

底地は「安定した地代収入がある資産」というより、税金と制約がつきまとう特殊な土地です。これを理解した上で、所有を続けるか、売却するかを検討することが大切になります。

相続した底地を所有する場合のリスク

「地代収入は少ないけど固定資産税を払っても少しは黒字になる。管理に手間がかからないなら、このまま持っていればいいかな」と思う方もいるかもしれません。もちろんそれも1つの考え方ですが、長期的な視点で見た場合、次のようなリスクが潜んでいることは知っておくと良いです。

借地人とのトラブル

借地人とのトラブルは、地代の支払い、契約の更新、建物の増改築・譲渡など、様々な場面で発生します。中でも地代の滞納や無断での増改築といった悪質な行為は契約解除の対象になり得ますが、借地借家法によって借地人は強く保護されているため、法的な手続きには時間と労力を要します

収益性と重い税負担のリスク

地代は地価の変動に比べて上がりにくいため、インフレや地価高騰に追いつかず、実質的な収益性は低い傾向にあります。これにより、長期間地代が改定されていない古い契約や、地価が急騰した都心部の土地では、地代収入よりも固定資産税や都市計画税の負担が大きくなり、結果として持ち出しになるケースも珍しくありません。

借地人の相続トラブルに巻き込まれるリスク

借地人の側で相続が発生した場合にも注意が必要です。遺産分割協議がスムーズに進まないと、誰に地代を請求すれば良いか明確にならず、地代の滞納や回収が困難になることがあります。また、契約の更新や建物の取り壊しに関する合意が相続人同士で意見が割れて協議がまとまらないと、契約手続きを進められなくなる状況になります。

将来、子どもに相続させるリスク

底地は現金のような金融資産と違って簡単に分けられないため、子供が複数人いる場合、共有名義にすることがあります。しかし、共有だと売却や活用に関して意見の対立が起こりやすくなります。また、将来的に孫の代へと相続が繰り返されると、権利者がさらに増え、関係性が複雑化し、管理がより困難になるリスクがあります。

底地は「すぐに困るわけではない」とそのままにされることが多いですが、長く所有すると借地人との関係・税負担の問題・相続トラブルなどが積み重なっていきます。今は大丈夫でも将来問題になる可能性があることを理解しておくことが大切です。

底地を売却する場合の選択肢

相続した底地を「このまま所有していくのは不安だ」と感じたら、売却を検討することになります。
ただし、すでにお伝えしたとおり、底地は普通の土地と違って自由に使えないため、売却の難易度が高いのが実情です。ここでは代表的な選択肢と、その現実的な可能性を整理してみましょう。

仲介での売却

通常の土地であれば、不動産会社に仲介を依頼して一般の買主を探すのが一般的です。

しかし、底地を購入しても自由に使用できないため、一般の買主が購入を希望することは基本的にありません。そのため、仲介での売却は現実的ではありません。

投資家に売却する

底地を資産運用の一環として購入する投資家も存在します。

ただし、底地は利回りが低いため、投資対象としては魅力に欠けるのが実情です。そのため、投資家への売却が成立するのは、「借地人との関係が非常に良好でトラブルのリスクが低い」「地代が相場に比べて高く、投資家が納得できる利回りが見込める」「将来的に借地人が買い取る可能性があり、キャピタルゲインが期待できる」など、限定的なケースになります。

借地人に売却する

もっとも理想的な底地の売却方法は借地人に買ってもらうことです。

借地人は購入することで地代を支払う必要がなくなり、土地を自由に使うことができるようになります。地主としても、底地だけを第三者に売却するよりも高く売却できる可能性があるため、お互いにメリットがあると言えます。

ただし、借地人に資金力や購入意思がなければ実現できません。そもそも購入を打診するには、借地人と良好な関係を築けている必要もあります。

不動産会社による買取

もっとも現実的でスムーズな売却方法は不動産会社による直接買取です。

不動産会社は借地人との交渉や、契約解除、他の底地や借地権と組み合わせるなどノウハウをもっており、地主としては借地人との面倒な交渉やトラブル対応から解放され、スピーディーに現金化できるのがメリットです。

ただし、買い取った底地に利益を乗せて再販するため、売却価格は市場価格より安くなる傾向があります。しかし、確実に売却できる安心感とスピードを重視するなら、合理的な選択肢といえます。

所有か売却か?判断のためのフローチャート

相続した土地を所有し続けるのか、それとも売却するのか。迷ったときは、次の質問に答えてみてください。

Q1. 地代収入は、固定資産税やその他の負担を上回っていますか?
 YES → Q2へ
 NO → 売却を検討しましょう(収支がマイナスなら長期保有は負担になります)

Q2. 借地人との関係は安定していますか?(滞納や揉め事はないですか?)
 YES → Q3へ
 NO → 売却を検討しましょう(人間関係のストレスやトラブルリスクが将来も続きます)

Q3. 将来、自分の子どもにこの土地を相続させても問題ないと思えますか?
 YES → 所有を続けても構いません(ただしリスクは常に意識しておきましょう)
 NO → 売却を検討しましょう(同じ悩みを次世代に残さないために現金化するのが賢明です)

まとめ

親から相続した土地が、他人が家を建てて住んでいる底地だった。でも「地代収入があるから大丈夫だろう」と思ったかもしれません。

しかし、実際に整理してみると、
・地代が安く、固定資産税と釣り合わない
・借地人との関係でトラブルが起きかねない
・将来子どもに同じ悩みを残してしまうのは心苦しい

といった問題が浮かび上がった方もいるでしょう。

底地は「今すぐ困るわけではないが、長期的に見ると大きな負担になる可能性がある土地」です。

所有を続けるか、それとも売却するかを判断するには、この記事で紹介したフローチャートを参考にしてください。そして、1つでも「NO」が当てはまった方は、売却を前向きに考えると良いでしょう

底地は仲介での売却は非現実的で、借地人や投資家への売却も現実的には進みにくいケースが多いです。そのため、不動産会社による買取がもっとも確実で、スピーディーに解決できる方法といえます。

相続した土地をどうするか迷っているなら、まずは買取を行っている不動産会社に相談してみましょう。「よく分からないから、とりあえずこのままにしておこう」と考えることが一番リスクです。早めに行動することで無用のトラブルやリスクを回避しましょう。

当社でも底地の買取を行っています。
相談は無料ですので、底地を所有し続けることに少しでも不安を感じるなら、是非一度ご相談ください。

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