港南台駅前のビル建替えプロジェクト~基礎配筋後の中間検査~

2026年6月9日 |  コラム

今回で5回目となる、港南台駅前で進めているビル建替えプロジェクトの続編です。

前回の記事では、基礎配筋工事に向けた鉄筋加工場での準備や、材料管理、加工精度、搬入の段取りについてご紹介しましたが、現在は基礎配筋工事は無事に完了しています。次はコンクリートを流し込む(打設)工程へと進んでいきます。

しかし、コンクリートを打設する前に、建物の長期的な安全性を確保するための重要な工程があります。
それが今回お伝えする「中間検査」です。

鉄筋コンクリート造の建物は、コンクリートを打設すると配筋を目視で確認できなくなります。そのため、次の工程へ進む前に設計図書に基づいて適切に施工されているかを確認することが大切になります。

この記事では、建築基準法における中間検査の役割や横浜市における検査のタイミング、基礎配筋完了時の中間検査が重要とされる理由について、管理会社の視点も交えながらご紹介します。

中間検査の役割と制度が生まれた背景

中間検査とは、建築工事の途中に公的な権限を持った機関が、客観的な立場で行う検査のことです。

建物の検査というと、完成後に行われる完了検査をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、建物は工事が進むと後から確認できなくなる部分があります。そのため、建築基準法では、特定の工程に達した段階で中間検査を受ける仕組みとなっています。

この中間検査、実は昔からあった制度ではありません。制度が生まれたきっかけは、平成7年に発生した阪神・淡路大震災です。

それまで工事中の工程管理は、工事監理者や工事施工者などにすべて委ねられていました。しかし、震災では施工不備が原因と考えられる建物の被害が多数みられたため、建物の安全性の確保の重要性があらためて認識されることになりました。

その結果、建物完成後の完了検査では確認できない、基礎の鉄筋や柱などの構造部分の施工不備を防ぐため、平成10年6月の建築基準法改正で中間検査が制度化されました。

横浜市の中間検査のタイミング

横浜市では、平成11年7月から中間検査制度が実施されています。それ以降に確認済証が交付された建物は、横浜市が指定した「特定工程」に達した時点で中間検査を受ける必要があります。

実は、中間検査の対象となる工程は全国一律ではありません。自治体や建物の規模・用途・構造によって異なります。

横浜市の場合は、坂道や崖地、湾岸部など地盤条件が非常に多様です。そのため、杭や基礎の重要性が高い地域になり、鉄筋コンクリート造の建物では次の2つの工程が中間検査の対象となっています。

1回目:基礎配筋完了時
2回目:2階の床および梁の配筋完了時

なお、たとえば東京都では、「2階の床および梁の配筋完了時」のみが中間検査の対象となります。

2つの工程が中間検査の対象となっているため、横浜市は厳しいルールと感じるかもしれません。しかし、公的なチェックが1回多く実施されるため、オーナー様にとっては安心材料と言えます。

基礎配筋完了時の中間検査が重要な3つの意味

建物全体を支える基礎配筋の中間検査は、「後から直すことができない」構造部分を公的に確認する唯一の機会であり、建物の安全性を確保するうえで非常に重要です。

今回は基礎配筋完了時の中間検査となりますが、基礎配筋が完了した段階で中間検査を受けることには、以下の3つの大きな意味があります。

1.配筋はコンクリート打設前にしか確認できないから

鉄筋の配置は、コンクリートを打設すると目視で確認できなくなります。万が一、コンクリート打設後に配筋に問題が見つかった場合、修正が極めて困難になります。

2.建物の耐久性と耐震性の根幹だから

基礎は、建物全体の荷重を受け止め、地盤へ伝える重要な構造部分です。基礎の中に配置される鉄筋は、建物の強度や耐久性、耐震性に直結します。鉄筋の間隔や太さ、定着の長さなどが設計図書通りに施工されていないと、建物の強度に直接影響してしまいます。

3.次の工程に進めない法的な強制力があるから

中間検査に合格すると、「中間検査合格証」が交付されます。この交付を受けた後でなければ、次の工程であるコンクリート打設に進むことはできないという、法的な強制力があります。

オーナー様にとっての第三者確認の意味

中間検査は、オーナー様にとって確かな安心材料になります。

建物の工事では、施工会社や工事監理者がそれぞれの役割のもと、必要な確認を行います。そのうえで、中間検査では自治体の建築主事または指定確認検査機関などによる確認が行われます。これは、構造上重要な工程について、第三者の立場から確認を受ける機会でもあります。

特に基礎配筋は、完成後には見えなくなる部分です。そのため、見えなくなる前に公的な確認を受けることは、オーナー様にとっても、工事が適切な施工で進められていることを知る大切な材料になります。

オーナー様が配筋の細かな検査項目まで把握する必要はありません。重要なのは、基礎配筋という構造上大切な工程が、「コンクリート打設前に確認され、そのうえで次の工程へ進んでいく」という、一連の流れを知ることです。

管理会社として物件管理を見据えた中間検査の意味

中間検査は、施工会社や工事監理者、検査機関によって行われる専門的な確認工程です。当社が施工を主導したり、工事監理者として施工品質を保証したりする立場ではありません。

しかし、当社は完成後の建物管理や運用に関わる立場です。建物がどのような確認を経て次の工程へ進んでいるのかを把握しておくことは、完成後の管理を見据えるうえでも重要です。

前回の記事では、基礎配筋工事に向けて、設計図書の内容が「鉄筋加工、材料管理、加工後の確認、現場への搬入、実際の組み立て」へとつながっていく流れをご紹介しました。今回の中間検査は、その流れの中で、基礎配筋が完了した後、コンクリート打設へ進む前に行われる公的な確認です。

基礎の配筋や中間検査の内容は、オーナー様にとっても少し専門的で分かりにくい部分かもしれません。だからこそ、基礎配筋という構造上重要な工程について、第三者による確認を受けたうえで次の工程へ進んでいることを、分かりやすく整理してお伝えする必要があります。

これは、施工や監理を行う専門家の役割を代替するという意味ではありません。物件管理を担当する会社として、工事中の確認工程の意味を理解し、オーナー様に必要な情報として伝えることも、管理会社の大切な役割の一つだと考えています。

さいごに

今回は建物の安全性を確保するための中間検査、そのうちのコンクリート打設前に行われる基礎配筋完了時の中間検査についてお伝えしましたが、無事に検査に合格しましたので、今後はコンクリート打設の工程に進んでいきます。

今後も港南台駅前ビル建替えプロジェクトの進捗に合わせて、工事の内容や確認工程を分かりやすくお伝えしていきます。

■これまでの港南台駅前ビル建替えプロジェクト記事

第1回:港南台駅前の当社管理物件のビル建替え工事プロジェクト
第2回:港南台駅前のビル建替えプロジェクト~杭工事~
第3回:港南台駅前のビル建替えプロジェクト~安全と品質を支える現場の準備~
第4回:港南台駅前のビル建替えプロジェクト~配筋工事の準備~

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