固定資産税評価替えで損しないための空き家の注意点

2026年2月19日 |  コラム

毎年4月や5月、固定資産税の納税通知書が届くと、「あぁ、またこの時期か……」と少し気が重くなる方もいるかもしれません。固定資産税は決して安くない金額で、しかも、一度きりではなく、不動産を所有し続ける限り毎年支払いが続いていきます。

固定資産税は、ずっと同じ金額だと思っている方も少なくありません。しかし実は、3年に1度「評価替え」が行われ、税額が変わる可能性があります。

前回の評価替えが令和6年でしたので、次回の評価替えは来年、令和9年に行われます。

とはいえ、評価替えがあるからといって、毎回、税額が大きく変わるわけではありません。多くの場合は微増・微減にとどまり、気づかないまま支払っていることも少なくありません。

しかし、「相続したまま使っていない家がある」「長年、空き家のままになっている不動産がある」という方は注意が必要です。不動産の状態によっては、評価替えをきっかけに、固定資産税の扱いが大きく変わることがあるからです。

今回は、意外と知られていない「評価替え」の仕組みと、空き家所有者が直面するリスクについて、分かりやすくお伝えします。

この記事を読むと以下のことが分かります。

  • 固定資産税の評価替えとは
  • 住宅用地の特例とは
  • 固定資産税の税額計算具体例
  • 固定資産税が最大6倍になる管理不全空き家や特定空き家にならないポイント
  • 管理不全空き家や特定空き家になるのを回避する選択肢

固定資産税の「評価替え」とは

毎年の納税通知書を細かく見比べる機会は少ないため、「固定資産税は一度決まったらずっと同じ金額じゃないの?」と思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、お伝えしたとおり、固定資産税の基準となる「評価額」は3年に一度、全国一斉に見直しが行われます。これが「評価替え」です。

なぜ3年に一度見直しするのか?

本来、税金は「その時の価値」に合わせて公平に課税されるべきものです。

例えば、家の近くに新しい駅ができたり駅前が再開発されて地価が高騰したり、逆に建物が古くなって価値が下がったりしているのに、何十年も同じ税額のままだと公平とは言えません。

とはいえ、日本全国にある膨大な数の土地や建物を、毎年ひとつずつ調査して計算し直すのは、自治体にとって気が遠くなるような作業です。そこで、「3年に1回、まとめて見直す」というルールになっているのです。

評価替えで「上がる人」と「下がる人」

評価替えでは、主に以下の2つの視点でチェックが入ります。

土地: 周辺の取引価格(地価)が上がっていれば評価額も上がり、下がっていれば下がります。
建物: 時間の経過とともに古くなる(減価償却)ため、基本的には評価額は下がっていきます。

地価に大きな変動がなければ、建物が古くなっていくだけなので、固定資産税は下がっていくことになります。しかし、近年は地価の高騰が続いているため、地域によっては税額が上がってしまうケースもあります。

特に、「ある特例の適用対象外」に該当してしまうと、税額が大きく変わってきます。

固定資産税の負担を左右する「住宅用地の特例」

ある特例はなにかというと、住宅用地の特例です。

住宅用地の特例とは、人が住むための家が建っている土地については固定資産税の負担を軽くするというものです。具体的には、家が建っている土地については、一定の面積までは、課税のもとになる金額が大きく引き下げられています。

200㎡以下の土地であれば、土地の評価額がそのまま課税されるのではなく評価額の6分の1(200㎡超の土地であれば評価額の3分の1)を基準に税額が計算されるという扱いになります。

この特例があることで、住宅用地にかかる固定資産税は、実際の土地の価値に比べて、かなり抑えられた金額になっています。

ただし、この特例は、あくまで「住宅として使われていること」が前提です。家が建っていれば自動的に適用され続ける、というものではありません。

住宅としての実態がなく、長期間にわたって放置されていたり、周囲に悪影響を与える状態になっていたりすると、この特例の適用対象から外れてしまうことがあります。

空き家でも条件次第で固定資産税が大きく増える

家が建ってさえいれば、誰も住んでいなくても以前は特例が適用されていました。しかし、放置された空き家が倒壊したり、害獣の住処になったりと空き家が社会問題化したことでルールが変わりました

とはいえ、空き家だからと言って、すぐに住宅用地の特例が外れるわけではありません。

適切に管理されず、自治体から「特定空き家」に指定され、改善の「勧告」を受けると、この住宅用地の特例が適用されなくなります

さらに注意したいのが、令和5年12月からスタートした新しい区分「管理不全空き家」です。

それまでは特定空き家だけが対象でしたが、現在は、そこまでひどくなくても「窓が割れている」「雑草が腰の高さまで生い茂っている」「壁が崩れかけている」といった、放っておくと特定空き家になる可能性がある管理不全空き家も、特例の適用除外の対象に加わりました

「倒壊寸前でなくても対象になり得る」点には注意が必要です。

その結果、これまで評価額の6分の1を基準に計算されていた土地が、評価額そのものを基準に課税されることになり、固定資産税が大きく増えることになります。

固定資産税はいくら変わる?【評価額3,000万円の具体例】

ここまでで、住宅用地の特例が外れると、固定資産税の扱いが大きく変わることを見てきました。

では実際に、土地の評価額が3,000万円の場合、どれくらい税額が変わるのかを見てみます。

分かりやすくするため、前提条件を以下のとおりとします。

  • 建物分は含めず「土地分のみ」で比較
  • 都市計画税がかかる地域を想定
  • 住宅用地特例:小規模住宅用地(200㎡以下)を想定

住宅用地の特例が適用されている場合

住宅用地の特例が適用されている場合、土地の評価額はそのまま課税されません。

・固定資産税
課税標準額:3,000万円 × 1/6 = 500万円
税額:500万円 × 1.4% = 約7万円/年

・都市計画税
課税標準:3,000万円 × 1/3 = 1,000万円
税額:1,000万円 × 0.3% = 約3万円

合計:約10万円/年

住宅用地の特例が適用除外された場合

一方で、特定空き家や管理不全空き家に該当し、住宅用地の特例が外れてしまうと、扱いは大きく変わります。

・固定資産税
課税標準額:3,000万円 × 70% = 2,100万円
固定資産税:2,100万円 × 1.4% = 約29.4万円

・都市計画税
課税標準:3,000万円 × 70% = 2,100万円
税額:2,100万円 × 0.3% = 約6.3万円

合計:約35.7万円/年

住宅用地の特例が外れた場合、固定資産税は制度上「最大6倍」と言われますが、実際には負担調整措置がかかるため、評価額3,000万円程度の土地では、都市計画税を含めると年間の税負担が約3~4倍になるケースが一般的です。

※負担調整措置とは、住宅用地の特例が外れた場合でも、非住宅用地は「課税標準額を評価額の70%に抑える」という制度です。

管理不全空き家・特定空き家にならないために、最低限押さえたいポイント

管理不全空き家や特定空き家に指定されるかどうかは、管理状態が保たれているかどうかで判断されます。

そのため、空き家を所有している場合、少なくとも次の点は意識しておきたいところです。

建物の外観に「明らかな劣化」が出ていないか

まず確認するのは、周囲から見て分かる状態です。

  • 屋根材が落ちかけている
  • 外壁が大きく剥がれている
  • 窓ガラスが割れたままになっている
  • 雨戸や扉が外れそうになっている

こうした状態は、「倒壊の恐れがある」「危険性がある」と判断されやすくなります。

敷地内の管理が行き届いているか

管理不全空き家で問題にされやすいのが、敷地の管理状況です。

  • 雑草が腰の高さ以上に伸びている
  • 枯れ木や枝が道路にはみ出している
  • ゴミが放置されている
  • 害虫・害獣の発生が疑われる

これらは、「周辺環境に悪影響を与えている」と判断されやすくなります。

「たまに見に行っている」だけで安心しない

よくあるのが、「月に1回は見に行っているから大丈夫」という認識です。しかし、重要なのは頻度よりも管理内容です。

  • 破損があっても直していない
  • 草刈りを先延ばしにしている
  • 状態を写真などで記録していない

この状態だと、所有者としての管理責任を十分に果たしていないと判断される可能性があります。

管理不全空き家・特定空家を避けるための主な選択肢

空き家を放置しないための方法は、大きく分けると、いくつかの選択肢があります。どの方法を選択するかは、不動産の立地や状態、将来の予定によって変わります。

管理を続ける(自分で管理/管理委託)

「将来使う可能性がある」「すぐに手放す予定はない」という場合は、適切な管理を続けるという選択があります。

・定期的な建物・敷地の確認
・草木の手入れ、簡単な補修
・必要に応じた専門業者への依頼

遠方に住んでいる場合や、管理の手間が負担になってきた場合は、業者に管理を委託するという方法もあります。

ただし、「どこまでやれば管理不全にならないのか」は、自分だけでは判断しにくい部分です。

利活用する

建物の状態によりますが、建物や土地を活用するという選択があります。

・建物をリフォームして賃貸する
・建物を解体して貸駐車場にする
・近隣事業者の資材置き場として貸す

などで利活用できれば、賃料を得ることができます。

一方で、解体費用や初期投資、将来の売却への影響など、事前に整理すべき点も多いです。

売却する

「使う予定がない」「管理の負担をこれ以上増やしたくない」という場合は、売却も現実的な選択肢になります。

特に、管理不全や特定空き家に指定される前であれば、

・売却条件の選択肢が広い
・解体や修繕の判断を落ち着いてできる

といったメリットがあります。

管理看板を設置する

なにかしらの事情があって、上記のような対応がとれない場合は、不動産会社の管理看板を設置するという選択もあります。

近隣住民の連絡窓口を明確にすることで、自治体への苦情に繋がる前に、不動産会社が窓口となって対応することで、管理していない印象を回避できます。

最後に

ここまで見てきたように、空き家をどうするかには、いくつもの選択肢があります。

ただし共通して言えるのは、放置したまま時間が経つほど、選択肢は狭くなっていくという点です。

評価替えの年は、税額だけでなく、不動産の状態や今後の扱いを一度整理する、ちょうど良いタイミングかもしれません。

万が一にも管理不全や特定空き家に指定されて、固定資産税を最大6倍(実質3~4倍)支払わなければいけない状況になるのを回避するために、

・管理を続けるのが現実的か
・活用の余地があるのか
・売却するなら、どの段階がよいのか

一度、状況を整理してみることをお薦めします。

当社は、空き家の売却・解体・利活用・管理看板設置など、所有者様の状況や建物の状態を踏まえて最適なご提案をさせていただきます。ご相談は無料ですので、少しでも所有する空き家でお悩みのことがあればご相談ください。

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