2024年7月30日 | コラム
古い建物が建っている土地を相続した。高齢の親が介護施設に入居したり、子どもと同居することになった。自分が住むなら良いけど、持ち家があって住む予定がない。住もうと思っても、建物が古くて住めない。
かといって、そのまま所有していると、税金を払わなければならないので売却したい。でも、建物は古くて老朽化しているので本当に売れるか不安。なるべく早く売るには、どうすれば良いか知りたい。
このような方がいらっしゃれば、不動産会社による買取という方法があります。
この記事では、一般の買主に売却する仲介と不動産会社による買取の違いを中心に、古家付き土地の売却に関する内容を整理しましたので、参考にしていただけると幸いです。
そもそも「古家付き土地」とはなにか?初めて見たり聞いたりする言葉かもしれません。
古家付き土地とは、文字どおり、古い家が建っている土地のことです。上物付き土地、廃屋付き土地、売地(古家あり)などとも言われます。
古い家というのは、築年数が古いというだけではありません。中古住宅として販売することが難しい、不動産会社で査定をしても経済的な価値が付かない家です。土地に古い家がおまけで付いているイメージです。
では、どのような家が古家になるかですが、、、明確な基準はありません。たとえば、木造住宅の法定耐用年数が22年のため、築20年以上経過した木造住宅は古家として扱われることが多い、といったことはあります。ですが、基本的には、建物の老朽化の程度や利用の可能性などによって古家か判断されます。
不動産を売却するには、大きく不動産仲介と不動産買取の2つ方法があります。
不動産仲介は「不動産会社を通じて、不動産市場で希望に合う買主を見つけて売却する方法」で、不動産買取は「不動産会社に直接買い取ってもらう方法」です。
不動産仲介は、多くの場合、一般の個人が居住することを目的に購入します。そのため、需要が高い物件であればすぐに買主が見つかって成約できることもありますが、基本的に、買主が見つかって成約までに時間と手間がかかることが多いです。
一方不動産買取は、不動産会社(買取業者)がリフォーム等を行って再販することを目的に購入します。不動産仲介のように買主を見つけるための広告活動や内見対応、買主との交渉が不要で、査定後すぐに契約できるため、成約までの時間と手間を大幅に削減できます。
なお、不動産買取は、不動産仲介で売却するのと比べて、価格が安くなる傾向があります。これは古家付き土地を不動産会社が買い取った後、再販売するために、たとえば古家を解体したり、リノベーションするコストがかかるためです。一般的に、買取価格は市場価格の7~8割と言われています。
古家は経済的な価値がない老朽化した建物です。そのため、仲介で一般の買主を見つけるのは、はっきり言って簡単ではありません。
もちろん立地が良ければ、いくら建物に経済的な価値がなかったとしても、土地として価値を感じて購入する人がいます。また、近年の古民家ブームで、購入した後にリノベーションして、古民家カフェや古民家宿などにする人もいるので、そういう人に需要がある物件なら売却しやすいです。
しかし、多くの古家付き土地は買主がなかなか見つからず、売却するまでに長い時間がかかるのが現実です。
古家を活用することはなく、土地に魅力を感じて購入を検討する買主の場合、古家は必要ありません。
古家付き土地で購入した場合は、購入後に古家を解体する必要がでてきます。解体するには手続きに手間がかかりますし、解体費用もかかります。そのため、購入に慎重になり、解体費用を差し引いた売却価格にするよう交渉される可能性があります。
時間がかかっても買主が見つからない場合は、古家を解体して更地にして売却することを検討しなければなりません。その場合は、売却前に解体費用が必要になります。
いずれの場合でも、実質的に解体費用を負担することになる可能性があります。
古家は経済的な価値がない老朽化した古い建物になるため、不具合をすべて把握するのは難しいです。契約内容にない不具合が見つかった場合は、買主の保護を目的に、解約や補完、減額などの契約不適合責任を負う必要があります。
契約不適合責任を免責する特約をつけることもできますが、本来買主保護を目的とした契約不適合責任を免責するものなので、買主としては購入をためらう可能性があります。
仲介より買取の方が売却金額が安くなるという面はありますが、「仲介と買取の違い」、「古家付き土地の特徴」を踏まえると、古家付き土地の売却は以下の理由で不動産買取がおススメです。
仲介だと不動産会社と媒介契約を締結して、広告・販売活動をして、購入希望者が見つかるのを待ちます。購入希望者が見つかっても、価格など契約内容について交渉があり、場合によっては交渉が長引くこともあります。その点、不動産買取は、査定額に納得できればすぐに売買契約を締結することができます。
査定額について交渉することがあるかもしれませんが、仲介で売主として買主から価格交渉されるのとは異なり、自分の意思で行う交渉ですので、期限を決めるなどして売却までに時間がかからないようにコントロールすることができます。
一般的に、買取後に不動産会社が古家を解体する前提で、査定額が提示されます。そのため、売主として古家を解体する必要がなく、解体の手間がかかりません。
解体できる業者ならどこでも良いわけではなく、適正価格で解体してくれる解体業者を探して依頼するとなると、それ相応に手間がかかります。また、専門知識がない、依頼したことがないことを依頼するのは思いの外、ストレスがかかるものですが、そうしたストレスがかかることもありません。
買主が不動産会社になるため、売買契約書に明記しない限り、売主は建物に欠陥などの瑕疵があっても責任を負わない、契約不適合責任を免責されます。これは宅建業法40条で規定されています。どうしても素人では不具合を把握するのは難しいですから、古家について契約不適合責任が免責されるのは大きいです。
買取の場合、買主である不動産会社は、自ら物件を調査して瑕疵の有無を確認しますが、売主が故意または重大な過失で瑕疵を隠蔽している場合などは、契約不適合責任を負う可能性がありますので注意が必要です。
古家内にある家財や不用品、ごみといった残置物は、仲介だと残置物を処分してから売却するか、そのままで売却するかになります。残置物があると、残置物があることで買主が見つかりにくくなる可能性があります。また、残置物を処分する費用がかかるということで、価格交渉され売却価格が下がる可能性があります。
買取の場合、多くの不動産会社が買取後に残置物を処分する形で買い取ってくれます。残置物の処分は、処分する物によって処理方法が異なるなど、処分するためにかかる労力が大きいため、処分が不要だと労力が小さくなります。
古家付き土地の買取を相談する不動産会社を探します。
不動産会社の査定には、机上査定と訪問査定があります。
机上査定は、物件の情報や過去の取引事例などを基に、おおよその査定額を算出する方法です。訪問査定は、実際に現地を訪れて物件の状態を調査した上で、査定額を算出する方法です。
机上査定で概算の査定額を何社か出してもらって比較検討して、その中から訪問査定を依頼する不動産会社を絞り込むのが安心かもしれません。
査定金額を踏まえて、実際の買取金額を交渉します。他社の査定金額などを材料に交渉し、納得して依頼できるようにして、後悔しないようにしましょう。
買取を依頼する不動産会社を選び、売買契約を締結します。買取金額がもっとも高い不動産会社を選んでも良いですが、金額以外にサービス面や実績、担当者の対応など他の情報も含めて総合的に決めるのが良いでしょう。なお、残置物の処理を自分でするか、不動産会社に依頼するかは契約時に取り決めておきましょう。
売買契約が成立すると、不動産会社から買取金額の5~10%が手付金として支払われます。
不動産を引き渡して、不動産会社から残金を受け取ります。
一番はコレですよね。やはりお客さんの要望を伺って、親身に相談に乗ってくれる会社が良いです。この記事では買取をおススメとして紹介していますが、お客さんの要望と不動産の状況などを踏まえて最適な売却方法を提案してくれる会社が信用・信頼できると思います。
買取保証とは、仲介と買取の良いとこ取りしたものです。まず仲介で売却できないか、契約時に定めた期間、販売活動を行います。もし、期間内に売却できなかったら、不動産会社から当初提示された査定額で買い取ってもらえるというものです。
古家付き土地は仲介での売却が難しいとは言え、もし仲介で一般の買主が見つかれば、一般的に、買取よりも高値で売却できます。そのため、時間的に余裕がある場合は買取保証が利用できないか不動産会社に確認すると良いです。
シンプルに一番高い査定金額が高い不動産会社に依頼する、というのが分かりやすい考え方ですが注意が必要です。基本的に、査定金額の根拠が明確か、説明を受けて納得できるかが大切です。他社より少しでも高く買い取れる根拠が明確だと安心できますよね。たとえば、リフォームや解体を外注せずに自社施工できる分、費用が節約できるので、買取金額を高くできるなど。
明らかに他社より高額な査定金額を出している場合、査定金額と売却価格がかけ離れている可能性があったり、トラブル発生時に責任を逃れようとする可能性があったり、法外な手数料を要求されたり、契約内容に不利な条項が盛り込まれる、といったことが起こり得ます。
複数社に机上査定を依頼すれば、あまりに相場を下回る買取金額で依頼するリスクはほぼないと思います。しかし、不動産会社に相談したり、査定を依頼する前に、まずは自分でおおよその相場を把握しておくことをおススメします。
相場を知っておくと、査定金額の交渉をするときに判断材料になります。相場は、レインズや不動産情報ライブラリで調べることができます。ただし、不動産は条件によって価格が異なりますので、あくまで参考程度にしてください。
古家だと売れにくいなら先にリフォームすればいいのではないか、解体した方が売れやすいのではないかと考えて、不動産会社に依頼する前に独断でリフォームや解体の判断するのはやめてください。リフォームすることで逆に買取が難しくなったり、解体料金が高くなったり、マイナスに働く可能性があります。
不動産会社にリフォームや解体の要否を含めて相談しましょう。
不動産仲介でも不動産買取でも同じですが、古家付き土地を売却するときに必要な必要は、次のとおりです。
売買契約書の作成にあたり、売買代金に応じて収入印紙を貼付する必要があります。
土地と建物の所有権移転を登記簿に登録するために登録免許税が必要になります。
古家付き土地を売却して利益が出たときは、譲渡所得税と住民税を支払う必要があります。
古家付き土地の売却は、不動産買取がおススメということでお伝えしてきました。
繰り返しになりますが、買取は仲介よりは売却金額が安くなりますが、売却が難しい古屋付き土地を短期間で売却して売却代金を手にできるメリットがあります。立地に魅力がなく、建物の老朽化の程度がひどいと思うようなら、買取での売却を検討してみると良いです。
不動産会社選びのポイントで記載しましたが、買取にあたっては、ご自身が不動産会社や買取会社の提示する査定額や契約内容に納得できる会社に依頼していただくのが一番です。当然のことながら、不動産会社に利益が出る金額で買い取ることになりますが、買取に伴う費用をおさえることができれば、その分を買取価格に反映することができます。
買取後にどんな費用がかかるかというと、たとえば、解体費用、古家でアスベストを使用していればアスベスト処分費用、隣地との境界確定費用、残置物の処分費用、給排水管が隣地を越境している場合の敷設工事費用、木が隣地から越境している場合の伐採費用など、さまざまな費用がかかってきます。外注でやるのか自社でやるのかによって、こうした費用は大きく変わってくるのでしっかり確認しましょう!
素人には分からないことも多いですし、不動産の売却は人生で何回も経験するものではありませんので、少しでも疑問があれば、遠慮なく不動産会社に質問しましょう。
不動産に関する真のワンストップサービスを提供する当社だから実現できる、費用をおさえた高価買取にご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。