不動産一括査定で高額査定の会社を選ぶ前に読む話

2026年3月19日 |  コラム

不動産一括査定サイトは、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる便利な仕組みです。土地や戸建て、マンションなどの不動産の売却を考え始めた段階で、相場感を知るきっかけとして利用する方も多いでしょう。

ただ、提示された査定額を比較して、最も高い会社を選べば良いかというと、実はそうとは限りません。査定額の高さだけで判断すると、売却の進め方で後悔する原因になることもあります。

不動産会社を選ぶときに大切なのは、査定額の高さではなく、その価格の根拠に納得できるかどうかです。

この記事では、不動産一括査定サイトを利用する際の注意点と、比較するときに見ておきたいポイントを解説します。

なぜ一括査定サイトでは高めの査定額が出やすいのか

不動産一括査定サイトでは、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できるため、売主は査定額を比較しながら依頼先を検討できます。一見すると便利な仕組みですが、この「複数社で比較される」という点が、高めの査定額が出やすくなる理由の一つでもあります。

不動産会社が一括査定サイトで査定額を提示する段階は、営業の入口です。まずは媒介契約を取らない限り、不動産会社の売上につながりません。

一般的に、一括査定サイトを利用する人の多くは、最初に査定額の数字へ目が向きやすい傾向があります。そのため、不動産会社も現実に売れる価格というより、まず媒介契約を取るために高めの査定価格を提示しやすくなるのです。

もちろん、すべての会社が意図的に高い査定額を出しているというわけではありません。ただ、一括査定サイトには、査定額が高めに出やすい構造があることは知っておいた方がよいでしょう。

高額査定=その価格で売却できるではありません

高い査定額が提示されると、「え?こんなに高く売れるの!?」「それならこの会社に依頼しよう!」と考える方が多いと思います。

しかし、査定額が高いことと、実際にその価格で売れることは同じではありません

査定額は、あくまで不動産会社が出した見立ての価格です。

実際の売却価格は、買主が「立地、面積、築年数、階数、角部屋かどうか、日当たり、室内の状態」などのさまざまな条件をもとに、相場と照らし合わせて受け入れられる価格で決まります。

そのため、査定額が相場とかけ離れて高ければ買主が現れず、売却で苦戦することになります。

大切なのは、提示された査定額の高さだけではなく、その価格で本当に売れる可能性があるのかという視点を持つことです。

本当に見るべきは査定額の高さではなく“その根拠”

高い査定額をみると、どうしてもその金額の高さに目が行ってしまいますよね?

しかし、本当に確認したいのは、査定額そのものではなく、なぜその査定額になるのかという根拠です。

不動産会社はレインズという不動産業界の専門システムを使用して、近隣の成約事例や売出事例などを参考に査定額を算出します。ただし、査定額を算出する際に使用されている事例が、本当に自分の物件と近い条件なのかは、確認しないと分かりません。

たとえば、築年数が違う物件を比較対象にしていたり、低層階なのに高層階の成約事例を使っていたり、中部屋なのに角部屋の事例をもとにしていたりすると、査定額は実際より高めに出やすくなります。

ほかにも、間取りや室内状態が大きく異なるといったケースでは、その事例をそのまま参考にしてよいとはいえません。 つまり、「どの事例をもとに査定価格が算出されたのか」を確認することが、不動産会社を見極めるうえで重要になります。

媒介契約を結んだ後に値下げになることは少なくありません

媒介契約を締結する不動産会社を決める際、高値での売却を期待して、高い査定額を提示した会社にする人も多いはずです。

媒介契約後に実際の売り出し価格を決めることになりますが、相場より高すぎる査定額をもとに売り出し価格を決めると、なかなか売却できないことになります。

問い合わせが少ない、内見につながらない、内見が入っても申込みに至らないといった状態が続き、結局は価格を見直す流れになりやすいのです。

実際には、売り出し後しばらくしてから値下げを提案されるケースが少なくありません。たとえば、「SUUMOなど複数の不動産サイトに掲載していても反響が弱いため、今の価格では売却が難しい」と説明される流れです。

さらに、不動産売買では、その見直し後の価格に対しても買主から価格交渉が入ることが多いため、結果として成約価格は相場に近い水準に落ち着くことが珍しくありません

もちろん、高めに売り出して段階的に値下げしていく方法自体が、必ずしも悪いわけではありません。ただし、その出発点となる査定額に十分な根拠がなければ、高値売却への期待が外れるだけでなく、売却までに余計な時間と労力がかかることになりかねません

自分でも不動産会社を調べて比較することが大切

ここまで見てきたように、提示された査定額の高さだけで依頼先を決めてしまうと、売却の進め方で後悔する原因になりかねません。

だからこそ、不動産会社を選ぶときは、一括査定サイトに出てきた会社だけで判断するのではなく、自分でも不動産会社を調べて比較することをおすすめします

実は、一括査定サイトに登録していない不動産会社も少なくありません

不動産会社によっては、一括査定サイト経由の集客に頼らず、地域での売却実績や紹介、自社ホームページなどを通じて相談を受けていることがあります。そのため、一括査定サイトに出てこないからといって、実績が少ない会社とは限りません。

たとえば、地域での売却実績があるか、査定額の根拠を丁寧に説明してくれるか、売り出し価格と成約見込み価格の違いをきちんと説明してくれるかといった点は、不動産会社を見極めるうえで重要です。

また、物件の良い点だけでなく、売却時に不利になりそうな点も含めて説明してくれる会社の方が、相場に対して誠実に向き合っているといえるでしょう。

一括査定サイトはあくまで比較の入口の一つです。

不動産売却で後悔しないためには、一括査定サイトでの結果だけで決めるのではなく、自分でも「この会社は信頼できそうだ」と思える不動産会社を探して、査定を依頼してみることが大切です。

査定額を確認するときのポイント

ここまで説明した内容を踏まえて、不動産会社から提示された査定額を確認する際のポイントを整理しました。

1.どの成約事例をもとに査定しているか

査定額がどの事例をもとに算出されているかです。

近隣の成約事例や売出事例を使っていても、築年数、面積、階数、角部屋かどうか、室内状態などの条件が大きく違えば、参考としては不十分なことがあります。

2.売り出し価格と成約見込み価格を分けて説明しているか

査定額の説明を受けるときは、「いくらで売り出す想定なのか」と「最終的にどのくらいで成約する見込みなのか」を分けて話してくれるかも大切です。この2つを分けずに高い金額だけを示している場合は、注意した方がよいでしょう。

3.売却時の注意点も説明してくれるか

信頼できる不動産会社は、物件の良い点だけでなく、売却時に不利になりそうな点や、価格設定で慎重に見た方がよい点もあわせて説明してくれます。都合の良い話だけでなく、マイナス面も含めて説明してくれるかどうかは、会社選びの大切な判断材料になります。

4.売れなかった場合の進め方まで説明してくれるか

売却は、必ずしも想定どおりに進むとは限りません。

そのため、最初の価格設定だけでなく、反響が弱かった場合にいつ、どのように価格を見直すのかまで説明してくれる会社の方が、現実的な売却を考えているといえます。

査定額を見るときは、単に「高いか安いか」を比べるのではなく、こうした説明の内容まで含めて比較することが大切です。その方が、自分の物件に合った売却の進め方を考えてくれる不動産会社を見つけやすくなります。

不動産売却で後悔しないために

当社は、不動産一括査定サイトには掲載していません。

その理由は、媒介契約を取るためだけの高額査定競争をしたくないからです。そして、そうした査定は、お客様のためにならないと考えています。

高い査定額を提示して期待を持っていただいたとしても、実際には売り出し後に値下げが必要になり、最終的には相場に近い価格で成約することも少なくありません。その結果、お客様に「最初に聞いていた話と違う」と感じさせてしまう売却の進め方を、当社はしたくありません。

だからこそ当社では、最初からこの価格帯であれば市場がきちんと反応すると考えられる水準を、誠実に、正直にご提案することを大切にしています。その方が、売却の見通しを立てやすくなり、売買契約や住み替えの計画も進めやすくなるからです。

なお、こうした当社の考え方や営業スタンスについては、「不動産売却における当社の譲れないポリシー」 でもご紹介しています。一括査定サイトの結果だけで判断するのではなく、査定の根拠や会社の姿勢まで含めて比較したい方は、あわせてご覧いただければと思います。

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