リースバックの利用検討は慎重に!メリットと裏側にあるリスク

2025年12月18日 |  コラム

老後の生活費や将来の住まいに不安を感じ、「自宅を売って資金を確保できるなら助かるかもしれない」と、リースバックを検討する方は少なくありません。

「自宅を売却した後も、賃貸としてそのまま住み続けられる」「一度にまとまった資金を得られる」といった魅力的な言葉が並んでいるため、注目を集めるのは自然なことです。

しかし、こうした魅力的な言葉の裏側には、「家賃の値上げによる生活破綻」や「突然の退去勧告」といった契約後に初めて表面化する大きな問題が潜んでいます。

国民生活センターも以下のとおり注意喚起をしています。

「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!-本当に「そのまま“ずっと”住み続けられる」契約ですか?-」
自宅を売っても住み続けられる? リースバックは慎重に検討して!

なぜそんなことが起きるのか。

その最大の原因は、「メリットだけが強調され、リースバックの根幹である自宅売却後の買主とである不動産会社などとの賃貸借契約の条件が複雑で、契約者が十分に理解できていないこと」にあります。

なお、老後の生活費と住まいの確保という意味ではリバースモーゲージという商品もありますが、こちらも「借金」という形で似たような問題を抱えています(「リバースモーゲージの安易な利用はNG!潜むリスクと代替策」をあわせてお読みください)。

本記事では、リースバックの仕組みや注意点について、できるだけ専門用語を避けながら分かりやすく解説します。

「契約を検討しているが、将来、家賃を払いきれなくなったり、退去を求められたりする事態を避けたい方」、「親御さんが契約を検討していて不動産会社の説明に同席することになったので、事前にポイントを把握しておきたい方」は、最後までお読みください。

この記事を読むと分かること

  • リースバックの基本的な仕組みとメリット
  • 見落としがちな「メリットの裏側」にあるリスクやデメリット
  • 広告の内容と現実の契約内容のギャップ
  • リースバック以外に検討すべき代替策

リースバックの基本的な仕組みとメリット

仕組み1)自宅を売却して、すぐにまとまった資金を手にできる

リースバックとは簡単に言うと、「自宅を不動産会社などに売って現金化する仕組み」です。

自宅を売却した代金を一括ですぐに手に入れることで、老後の生活資金を確保できます。そのため、まとまった資金が急に必要になった場合や年金収入に不安がある場合に有効です。

売却代金は、生活費や医療・介護費用の備えなど、原則として自由に使うことができます。

仕組み2)自宅を売った後も、家賃を払って住み続けられる

リースバックの仕組みの最大の特徴は、「自宅を売却した後も、自宅を購入した不動産会社などと賃貸借契約を締結して、そのまま自宅に住み続けられること」です。

自宅は手放すことになりますが、住み慣れた家には住み続けることができます。ただし、売却により所有権は買主に移るため、家賃を支払って住む賃借人ということになります。

リースバックを利用するメリット

リースバックの仕組みから生まれる主なメリットは以下のとおりです。

生活環境を変えずに済む

住み慣れた自宅にそのまま住み続けられるため、環境の変化によるストレスがなく、引っ越しに伴う手間や費用もかかりません。

売却代金を一括で得られる(現金化のスピードが速い)

不動産業者が直接買取るため、仲介による不動産売却よりも手続きが早く進み、まとまった資金を早く手元に確保できます。

住宅ローンからの解放

自宅に残債(ローン残高)があって返済に負担を感じている場合、売却代金で完済できるため毎月のローンの支払いから解放されます。

税金や維持費の負担が軽くなる

自宅の所有権を手放すため、固定資産税や都市計画税を支払う必要がなくなります。また、大規模な修繕費用も、原則として買主が負担することになります。

資金用途の幅が広い

売却代金は自由に使途を決められるため、老後の多様なニーズに柔軟に使用できます。

見落としがちな「メリットの裏側」にあるリスク・デメリット

リースバックのメリットを享受できる一方で、実はリスクも抱えることになります。リスクやデメリットを理解せずに契約すると、将来的に生活が破綻したり、住居を失ったりする事態になりかねませんので注意が必要です。

税金や維持費の負担が軽くなり、毎月の負担が軽くなる?

固定資産税や修繕費の負担がなくなるメリットは魅力的ですが、その代わりに発生する「家賃」が、年金生活において重大な負担となる可能性があります。

家賃が高額になりがち

リースバックで設定される家賃は、近隣の賃貸相場よりも高めに設定される傾向があります。そのため、年金収入の中から毎月相場よりも高めの家賃を支払い続けることで、生活を圧迫する負担となる可能性があります。

家賃が将来的に上昇する可能性がある

経済状況の変化や物価の上昇などにより、更新時に家賃の値上げを求められるリスクがあります。収入を年金に頼っている場合、家賃の上昇により老後の資金計画が崩れてしまったり、退去せざるを得なくなる可能性があります。

「自宅に住み続けられる」は本当?

自宅を売却して賃借人となっていることから、住み続けられるかは「賃貸借契約」の内容に依存することになります。

「定期借家契約」が多い

リースバックで結ばれる賃貸契約は、契約期間があらかじめ決められている「定期借家契約」であることが多いです。契約期間満了後、退去または再契約になります。老後に突然、住居を探さなければならない事態になったり、再契約ができても契約条件が悪くなることもあります。

売却代金を一括で手に入れられるので、老後資金は安心?

まとまった資金を一度に手に入れられるメリットは大きいですが、それが長期的な老後の安心につながるかどうかは別問題です。

売却額は市場価格より低い

不動産業者などの買主は投資利回りを確保するため、通常の不動産売却よりも査定額が低く抑えられ、市場価格の7割程度になる傾向があります。そのため、思ったよりも資金が得られないケースが多くあります。

長生きによる資金不足のリスク

売却資金は、毎月支払う家賃によって徐々に減っていきます。長生きするほど家賃の支払い期間が延びて資金が減り、生活費が不足する事態になりかねません。資金計画は長生きのリスクを考慮して立てる必要があります。

住宅ローンからの解放は、将来的にもメリット?

住宅ローンなどの負債から解放されるのは大きなメリットですが、同時に、自宅の資産価値の上昇や継承という将来的なメリットをすべて放棄することと引き換えになります。

自宅の買い戻しが非常に困難

一度売却した自宅を将来的に買い戻したいと考えている場合、買い戻し時の価格は「売却価格より10~30%高く」設定されることが一般的です。また、買い戻し特約がない場合は、原則として買い戻し自体ができません。

家族の資産形成の選択肢を失う

所有権を手放すことで、子供世代が将来的にその不動産を担保にしたり、賃貸に出したりするといった自宅を活用した資産形成の選択肢を失わせることになります。家族に相談せずにリースバックを決めてしまうと、後に大きなトラブルになりかねません。

なぜ「広告の内容」と「現実」にギャップが生まれるのか

リースバックは、一般的な不動産売買や賃貸契約とは異なり非常に複雑で、不動産会社(買主)や商品によって条件が大きく異なります。「理想を謳い文句にしている広告」と「現実の契約内容」のギャップこそが、安易な利用による誤解を生む最大の要因です。

商品の多様性が誤解を生む

リースバックは、不動産会社が独自に設計しているため、基本的な契約条件がバラバラです。

家賃の値上げルールの違い

「契約期間中、家賃は変わりません」と広告宣伝されていても、契約更新時に改定されることが多いです。また、更新時の家賃設定のルール(市場価格を参考など)や一度の値上げ幅の上限など、家賃に関するルールは会社ごとに異なります。

買い戻し特約の有無や条件が異なる

ネットで「リースバックは将来買い戻しができる」という情報を読んでも、それは「買い戻し特約」が付いている商品に限られます。また、特約があっても、「買い戻し価格は売却価格より高額になる」、「特約の有効期限が短い」など、条件は会社ごとに大きく異なります。

売却先と賃貸借契約先が異なる

売却する会社と賃貸借契約を締結する会社が異なることがあり、その場合は、契約更新時などに契約内容や条件面でトラブルになる可能性があります。

不動産会社の説明とどう向き合うか

リースバック契約は、説明したとおり条件が複雑な契約です。後で「聞いていなかった」「理解できなかった」という事態を避けるためには、不動産会社の説明を聞くだけでなく、リスクを自分で確認する姿勢が必要です。

質問攻めにする意識を持つ

説明を聞く際は、疑問があれば「〇〇とは具体的にどういうことですか?」「その場合、私にどんなデメリットがありますか?」と、納得できるまで質問を繰り返してください。

特に影響が大きい条件は細かく確認する

「自分や家族にとって影響が大きい条件」は、契約書で該当箇所を開いて、一つずつ確認しながら説明してもらいましょう。

・家賃の算定根拠と、将来的な値上げの上限やルール
・賃貸契約の期間、更新が拒否される具体的な条件(定期借家契約の場合)
・買い戻し特約の有無、および買い戻し時の価格設定方法(いくらになるか)

家族に同席してもらう

法律上、ご家族の同席は必須ではありませんが、後々のトラブルを避けるため、推定相続人(配偶者や子供)に同席してもらい、資産状況が変わることを一緒に説明を受けると良いです。

リースバック以外に検討すべき代替策

リースバックは「自宅を売却してまとまった資金を確保できる」という魅力がありますが、ここまで解説してきたように、家賃の高騰リスクや居住の不安定さなど、老後の生活の土台を揺るがしかねない大きなリスクが伴います

安易にリースバックに飛びつく前に、まずは代替策がないかを冷静に検討してみてください。

資産を整理し、支出を見直す

最もシンプルで確実な対策は、まず生活費の「出口」を固めることです。

無駄な支出の徹底的な削減

加入している保険、使っていないサブスクリプション、携帯電話料金プランなど、固定費を中心に、本当に必要な支出を見直します。相場より高い家賃を支払う前に、手元の資金を最大限に活かす方法を考えましょう。

貯蓄性のある資産の活用

終身保険などの貯蓄性の高い金融商品を解約または減額して、必要な資金を確保できないか検討します。リースバックで自宅の所有権を手放すよりも、リスクなく資金を得られる可能性があります。

生活のダウンサイジング(住み替え)

「自宅に住み続けたい」気持ちは理解できますが、そのために高い家賃を支払い続け、居住の不安定さを抱えることが本当に最善でしょうか。

自宅の売却と住み替え

自宅を通常の市場価格で売却し、都市部から郊外へ、または一戸建てからマンションへなど、規模の小さな家に住み替えることで、まとまった売却益をリスクなく得て老後資金に充てることができます。

賃貸住宅への住み替え

自宅に住み続けることにこだわらず、思い切って賃貸住宅に引っ越しする選択肢もあります。売却益を投資に回すことで、資金寿命を延ばせる可能性もあります。通常の賃貸であれば、相場より高い家賃を支払う必要はないですし、自宅を所有することでの固定資産税の負担や修繕費の心配もなくなります。

家族との資産継承の相談

自宅の将来的な売却を前提として、家族と協力して資金を確保する方法を検討します。

親子間での売買や贈与

子供世代に資金力がある場合、子供に自宅を買取ってもらう「親子間売買」を検討することで、親世代は老後資金を確保し、子供世代は資産を計画的に継承できます。この場合、所有者が家族になるため、居住の不安定さは大幅に解消されます。

家族信託の検討

自宅を信託財産とし、子供を「受託者」とすることで、自宅の管理や将来的な売却を任せることが可能になります。これにより、親の判断能力が低下した後も、自宅を適切に活用できます。

リバースモーゲージとの比較検討

自宅を資金化する手段として、リースバックのほかにリバースモーゲージがあります。

リバースモーゲージは、自宅を担保にしてお金を借りて、契約者が生存中は利息のみを支払い、元金は死亡後一括返済という形で自宅に住み続ける仕組みです。

リースバックが「自宅を売却」して所有権を手放す代わりにまとまった資金をすぐに得られるのに対して、リバースモーゲージは「自宅を担保」に必要な資金を借り入れられます。

リースバックは借金ではなく売却による現金化であるため、リバースモーゲージのように「金利上昇による返済増額」、「不動産価格の下落や長生きによる返済超過といったリスク」などがない点は魅力です。

しかし、どちらもリスクを内包しており、「安易に利用すべきではない」というのが結論です。

まとめ

リースバックは、自宅に住み続けながら資金を一括で確保できる、魅力的な解決策です。しかし、その根幹にあるのは「売買」と「賃貸」という二つの契約であり、賃貸借契約の内容次第では、老後の生活を脅かすことになります。

この記事を通して見てきたように、リースバックは、家族にも影響を及ぼす見過ごせないリスクが潜んでいます。もう一度、「リースバックを検討する前に確認すべき3つの重要ポイント」を最後に確認しておきましょう。

1. メリットの裏側にある「リスク」を直視する

「住み続けられる」というメリットの裏には、「定期借家契約の場合は契約期間満了での退去」というリスクがあります。また、「税金や維持費の負担軽減」にはなりますが、「家賃の値上がり」という別のリスクを負うことになります。自宅の所有権を手放して賃借人となる以上、単にメリットばかりに目を向けるのではなく、リスクにも目を向ける必要があります。

2. 「理想的な広告」と「現実としての契約」のギャップを埋める

リースバックは不動産会社によって条件がバラバラで、広告で謳われる「買い戻し」や「家賃の安定」は、自分が検討している契約では当てはまらない可能性があります。契約書に記載された「家賃の明確な算定ルール」や「更新拒否の条件」など契約条件は、納得できるまで質問を繰り返し、ご家族にも同席してもらい、リスクを認識したうえで契約することが重要です。

3. 代替策との比較で「本当に必要か」を判断する

資金確保の手段はリースバックだけではありません。自宅を市場価格で売却してダウンサイジングする、あるいは家族間での売買を検討するなど、居住の安定性を確保しつつ、資金を得られるより確実な方法が存在するかもしれません。

「自宅を手放したくない」という感情的な理由だけでリースバックを選ぶのではなく、「老後、安定した住居に住み続けられるか」を最優先の判断基準とし、他の代替策と冷静に比較検討することが、老後生活を守る鍵となります。

この記事が、リースバックに関する冷静な判断の一助となれば幸いです。

リースバックを検討している方で、代替策の自宅を売却した住み替えも比較検討してみたいという場合は、一度お問い合わせください。ご相談は無料です。

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