ウォシュレット故障の原因と対処法とは?トイレ交換が必要なケースも

2025年2月10日 |  コラム

「出勤前の朝の忙しい時間に、ウォシュレットを使おうとしたら急に動かなくなった…。」
「友達が遊びに来るので掃除をしていたら、トイレの床にじんわり水漏れの跡が…。」
「ウォシュレットのリモコンのボタンが突然効かなくなって、焦ってしまった…。」

トイレはよほどのことがないと修理したり交換するイメージはないと思います。しかし、ウォシュレットは電化製品なので、内部の部品が故障したり、なにかしら不具合が起きて修理や交換をしなければならいことがあります。

ウォシュレットが故障してもトイレは使えます。でも、便利なウォシュレットが突然使えなくなると、やはり不便を感じてしまうものです。さらに、故障の原因が分からないと『修理で直せるのか?それとも交換しなきゃダメなのか?』と不安を感じるものです。

この記事では、ウォシュレットのよくある故障やその原因、自分でできる簡単なチェック方法を分かりやすく解説します。また、修理が良いのか交換が必要なのか判断するポイントもご紹介します。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

ウォシュレットの仕組み

ウォシュレットで温水が出る仕組みをウォシュレットの構造から理解しておくと、故障の内容や対処方法をより理解しやすくなるので、ウォシュレットの仕組みからお伝えしていきます。機種によって多少の違いはありますが、ここでは細かい仕組みを理解する必要はありません。大きな流れを理解できれば十分です。

トイレは給水管がトイレタンクに繋がっていますが、通常、分岐金具を使って給水管を分岐してウォシュレット用給水ホースに接続して、水をウォシュレット本体に送ります。

給水ホースから供給された水は、ウォシュレット本体内部の給水フィルターを通過して、水道水に含まれる不純物が取り除かれます。これによりノズルが詰まるのを防いでいます。フィルターを通過した水はウォシュレット内部の加熱システム(瞬間式または貯湯式の2種類あり)に送られて、水が温められます。

温められた水は、リモコンのボタンが押されるとバルブユニットの電磁弁が開いて、配管を通ってノズルに水が流れていき、ノズルから水が勢いよく噴射されます。

ウォシュレットの故障と対処方法

ウォシュレットの仕組みが分かったところで、よくある故障とその原因について説明していきます。

1.水が漏れる

ウォシュレットで主に水漏れしやすい箇所は、ノズル周辺、給水フィルター、給水ホース接続部の3箇所になります。水漏れ箇所によって原因が異なるので、それぞれ説明します。

■ノズルからの水漏れ

「ノズルが汚れや水垢でつまる」、「バルブユニット内の電磁弁が故障する」と、ノズルの付け根から水が漏れたり、使用後もノズルから水滴が落ち続けることがあります。

【自分でできる対処方法】
ノズルの掃除:歯ブラシなどで軽くこすったり、柔らかい布で水拭きするなど掃除する。

■給水ホースの接続部からの水漏れ

「分岐金具との接続部のナットが緩む」、「ウォシュレット本体の給水口との接続部のナットが緩む」、「ナット内部のパッキンが劣化する」と、分岐金具や本体の給水口と給水ホースの接続部からじんわりと水がにじんだり、ナット部分からポタポタ水が漏れることがあります。また、接続部からだと思ったら、給水ホースが劣化してひび割れして水が漏れていることもあります。

【自分でできる対処方法】
ナットを締める:ナットが緩んでいる場合は、強く締めすぎないように手で締める。強く締めすぎると接続部やパーツが破損する恐れがあるため、レンチは使わない方が安全です。
※パッキンが劣化している場合は分岐金具を外してパッキンをしなければならず、(後述のとおりおススメしませんが)その場合はレンチでしっかり締める必要があります。

■給水フィルターからの水漏れ

「給水フィルターがゴミや水垢で目詰まりする」、「給水フィルターが劣化して破損する」と、給水ホースと給水フィルターの接続部分(パッキンの隙間など)から水がじわじわにじみ出る感じで水漏れすることがあります。給水フィルターの設置場所はメーカー・製品によって、ウォシュレット本体の側面や背面、本体内部と異なるため、取扱説明書で確認してみてください。

【自分でできる対処方法】
給水フィルターの掃除:歯ブラシなどで軽くこするなど掃除する。

2.ノズルから水が出ない

「ノズルに尿石や水垢などの汚れがつまる」、「給水フィルターに汚れが溜まってつまる」と、ノズルから水が出なくなることがあります。また着座センサーが付いている場合、センサーが汚れで正しく反応しないとウォシュレットが正常に作動せず、ノズルから水が出ない原因となることがあります。

【自分でできる対処方法】
ノズルの掃除:歯ブラシなどで軽くこすったり、柔らかい布で水拭きするなど掃除する。
給水フィルターの掃除:歯ブラシなどで軽くこすって掃除する。
着座センサーの掃除:お掃除シートなどでセンサー部分をやさしく拭いて汚れを取る。

3.ノズルが出ない、戻らない

ノズルに尿石や水垢などの汚れが付着すると、ノズルが出なかったり、元に戻らなくなってしまいます。また、2のノズルから水が出ないと同様に、着座センサーの汚れがノズルが出てこない原因となることがあります。

【自分でできる対処方法】
ノズルの掃除:歯ブラシなどで軽くこすったり、柔らかい布で水拭きするなど掃除する。
着座センサーの掃除:お掃除シートなどでセンサー部分をやさしく拭いて汚れを取る。

4.温水が出ない

設定温度が低くなっている、メーカーや機種によっては省電力モードで節電状態となって温水がすぐに出ないといった設定の問題やタンクに溜めた温水が切れているのでなければ、故障の可能性があります。「水を温める電熱線(ヒーター)が故障する」、「水温を感知するサーモスタットが故障する」と、ノズルから水は出るものの、温水が出なくなることがあります。

温水切れについて少し補足すると、ウォシュレット内部の加熱システムのうち、貯湯式はタンクに溜めた温水を使用します。そのため大量に使用すると次の温水が準備できるまで温水が出ません。温水が溜まれば使えるようになります。

【自分でできる対処方法】
設定の確認:設定温度を確認する。省電力モードがONの場合は、しばらく待ってみる。
省電力モードのOFF:しばらく待っても温水が出なければ、省電力モードをOFFにして温水が出るか確認する。(貯湯式の場合)しばらく待つ:温水が準備されるまでしばらく待ってみる。
※電熱線(ヒーター)やサーモスタットといった部品の故障の場合は業者に依頼が必要です。

5.リモコンが反応しない

ウォシュレットのリモコンには壁リモコンと袖リモコン(トイレと一体型)の2種類があり、種類によってリモコンが反応しない原因が異なります。

壁リモコンの場合、「電池が切れている」、「本体の通信(リモコンからの信号を送受信する)部分が汚れている」ことでリモコンが反応しないことがあります。

袖リモコンの場合、ウォシュレット内部の制御基盤が故障していることでリモコンが反応しない可能性があります。

【自分でできる対処方法】
(壁リモコンの場合)
通信部分の掃除:お掃除シートなどで通信部分をやさしく拭いて汚れを取る。
電池の交換:新しい電池と交換する。
(袖リモコン)
電源プラグの抜き差し:電源プラグを一度抜いて、再度差し込む。

6.便座が温まらない

設定温度が低くなっている、省電力モードになっているといった設定の問題でなければ、故障の可能性があります。「便座の電気部分をコントロールする基板が故障している」、「便座の温度を正しく調整するための温度センサーが故障している」、「電熱線(ヒーター)が摩耗して切れている」ことで、便座が温まらないことがあります。

【自分でできる対処方法】
設定の確認:設定温度を確認する。
省電力モードのOFF:しばらく待っても便座が温まらなければ、省電力モードをOFFにして温まるか確認する。

自分でできる対処方法の注意点

基本的に、自分で対処できることは、

・ウォシュレットの設定
・簡単な掃除

の2つだと考えてください。

上記以外にも、自分でできる対処方法として紹介しているサイトもありますが、専門知識がない人にはおススメできません。

ウォシュレット内部の基盤や電気系統の故障の場合、最悪、感電や火災のリスクがあります。また、給水部分を誤って外したり破損させたりすると、水が漏れて床を濡らして家にダメージを与えてしまう可能性があります。しかも、誤った修理をすると、別の故障を引き起こす可能性もあります。

あと、ほとんどのメーカーでは、自分で分解・修理をした場合、保証が無効になると定めています。保証期間内であれば無料修理を受けられる可能性があるため、メーカーや専門業者に依頼する方が安心です。

故障を放置するリスク

故障個所や内容にもよりますが、トイレ自体は使えることで、ウォシュレットの故障をそのままにしてしまう人もいるかと思います。しかし、故障を放置することで、さまざまな問題が発生する可能性があります。考えられる主なリスクを説明します。

1.水漏れによる床や壁の損傷・カビの発生

故障内容が水漏れの場合は、水漏れしていることに気づいていて、そのうち修理すればいいやと思う人はいないかもしれませんが、放置していると水漏れによって以下のようなリスクがあります。

  • トイレの床が傷む(フローリングなら膨張・腐食、クッションフロアなら剥がれ)
  • 壁や床にカビが発生する
  • 無駄な水道料金が発生する

2.悪臭や雑菌が発生し衛生面が悪化

ウォシュレットのノズルは、使用後に洗浄される仕組みになっています。そのため、ノズルの汚れやつまりが原因で、ノズルが動かないなどの故障が起こると、以下のようなリスクがあります。

  • ノズルが洗浄できず、さらに汚れや雑菌が溜まりやすくなる
  • 汚れが固着して、ひどくなると悪臭の原因になる
  • ノズルから便座の周りに汚れや雑菌が広がっていく

3.電気系統のショートや漏電、発火のリスク

ウォシュレット内部の基盤や電熱線(ヒーター)など電気系統が故障している場合に、通電したまま故障をそのままにしていると、以下のようなリスクがあります。

  • 電気系統でショートが発生して、最悪、発火して火災につながる
    ※電気系統の故障ではありませんが、電源プラグ付近まで水漏れすると漏電のリスクがある

4.故障が悪化して修理が高くなる

ウォシュレットに限らず、初期の軽い故障を放置することで、故障が悪化することはよくあります。

たとえば、

  • ノズルが出ないのを放置→モーターの負担増→モーターの故障
  • 給水フィルターのつまりを放置→水圧の低下→給水バルブの故障
  • 電熱線(ヒーター)の故障を放置→電熱線の断線→基盤の故障

などがあります。

早めに修理を行えば修理費用が安価で済むものでも、他の部品が故障することで修理費用が高くなったり、場合によっては修理ではなく交換が必要になってしまいます。

ウォシュレット修理と交換の判断ポイント

設定や掃除で故障が直らず修理が必要となった場合、故障の内容や原因によりますが、修理ではなく新しいウォシュレットに交換した方が長期的にコストが安く済んだり、電気代が安くなるなどお得になることがあります。

以下に「修理」と「交換」のどちらが良いか判断するときのポイントを説明します。

1.使用年数

ひとつは、シンプルにウォシュレットの使用年数です。

使用年数が5年以内なら、修理するときにメーカーによる部品の供給が十分にあるため、修理費がおさえられることから、修理がおススメです。

一方で使用年数が10年以上の場合、メーカーの部品供給期間が終了していて、修理部品が手に入らない可能性があります。また、交換部品が手に入って修理で対応しても、経年劣化で他の部品が故障することが多くなるため、修理ではなく交換する方が長期的にみると、コストが安く済む傾向にあります。

2.故障内容と修理費用

早期に故障を発見できて軽度な故障であれば、修理費用が安価になるため、修理がおススメです。

故障を放置して複数部品の修理が必要になったり、内部の基盤や電熱線、給水バルブの電磁弁など主要な部品が故障した場合は、修理費用が高額になりやすいです。

保証期間が終了していて、新品のウォシュレットに交換する費用と大差ない場合は、交換した方が進化した性能や省エネ機能のメリットを受けられますし、交換する方が安心です。

トイレの交換をするケース

一般的に、トイレ本体を新しく交換することはほとんどなく、トイレは使い続けるイメージがあると思います。実は、トイレを交換するのは、ウォシュレットの故障がきっかけになることが多いです。ウォシュレットの故障をきっかけに、どのような場合にトイレの交換をする人が多いのかお伝えします。

1.使用年数が10~15年超

トイレの交換も使用年数がひとつの目安になります。

メーカーや製品によって多少の違いはありますが、一般的にトイレの寿命は10~15年になっています。ウォシュレットが故障したときに、トイレの使用年数が寿命を超えている場合、トイレの交換もひとつの選択肢になってきます。

2.経年劣化の状態

トイレの寿命が10~15年と言っても、使えなくなるような故障をしない限り、年数だけを判断基準にトイレを交換する人は、そうそういないはずです。年数は目安にすぎず、実際には便器やタンクの状態、故障した部品の交換部品の有無などを含めて、トイレの交換を検討することになります。

たとえば、

  • 便器やタンクにひび割れや小さな亀裂がある
  • 陶器のコーティングが劣化して便器の黄ばみや汚れが蓄積して不衛生な状態になっている
  • タンク内部の交換部品が手に入らない部品が劣化して正常に機能せず、水が止まらなかったり、水が出ない、タンクになかなか水が溜まらなくなっている

といったことがあげられます。

3.重視したい機能や安全性

本当はトイレに求めたい機能面や安全面があっても、問題なく使えている間はなかなか交換しようと考える人は少なく、きっかけがあれば交換しようと思っている人もいるでしょう。ウォシュレットが故障したタイミングに、重視したい機能などがあれば交換を検討してみると良いでしょう。

たとえば、

  • 使用しているトイレが古く、最新の節水型トイレに交換して水道代を節約したい
  • 同居している親が高齢になってきたのでバリアフリー対応の安全なトイレにしたい

といったことがあります。

業者選びのポイント

ウォシュレットだから特別に、ということはありませんが、水まわりの修理や交換はトラブルが絶えないため、ポイントおさえた業者選びが大切です。適切な業者を選ぶことが、修理費用を抑え、安心して依頼できることにつながります。

1.複数業者に見積りを依頼する

悪質な業者にあたるリスクを減らしたり、相場観を把握するために、複数業者に見積りを依頼しましょう。極端に安い業者や高すぎる業者には注意が必要です。あくまで相場に見合った料金設定をしている業者を選びましょう。また、費用の内訳が分かる見積りを提示してくれる、見積内容を丁寧に説明してくれる業者を選ぶことが大切です。

2.保証やアフターサービスを確認する

修理後に故障が再発した場合、保証があるか、アフターサービスはどうなっているか確認しましょう。保証がある場合は、保証期間や条件を事前に確認してください。また、万が一、修理後に問題が再発した場合、迅速に対応してくれる業者であれば安心して依頼できます。

3.(故障内容によっては)顧客視点で提案があるか

ウォシュレットが古く劣化が進んでいて、部品交換で済ませられても、すぐに他の部品が故障するリスクがあるなど故障内容によっては、長い目で見てお客さんにとってお得な提案や選択肢を提示してくれるか?そういった質問をしたときに、丁寧に説明してくれるか確認しましょう。

4.資格や実績を確認する

ウォシュレットの交換をするために必須の資格はありません。しかし、トイレは水まわりの設備のひとつであることから、例えば、水道局の指定給水装置工事事業者の認証を受けている業者であれば安心材料になります。また、ウォシュレットを含むトイレの修理や交換などの実績(事例)が公開されていれば、こちらも安心材料になります。

まとめ

普段何気なく使っているウォシュレットですが、いろいろな仕組み(部品)があって、ノズルから(温)水が出る、便座が温まるといった機能が実現できている電気製品になります。そのため、長く使用していく中で劣化して不具合や故障が起きることは避けられません。

テレビやエアコンが故障したと思ったときに、自分で修理する人は少ないと思います。ウォシュレットも簡単にできる設定の確認や掃除以外は、自分で修理しないようにしましょう。専門知識がないと思わぬ事故にあったり、さらなる故障を招いてしまう可能性がある以上、業者に依頼する方が安全で安心です。

突然使えなくなると機能的には困らないのに、すごく不便さを感じるのがウォシュレットですので、本記事を参考に、少しでも早く不便さが解消されると嬉しいです。

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