2026年5月20日 | コラム
近年、住宅地の擁壁崩落に関するニュースが相次いでいます。
2026年5月17日(日)に配信されたTBSの「NEWS DIG」では、全国で擁壁の崩落が相次いでいることや、住宅地で擁壁が崩れて建物や敷地に影響が出ている事例が紹介されていました(詳細なニュース内容は、TBS NEWS DIGの記事をご覧ください)。
ただし、報道されている個別の事故には、老朽化だけでなく、周辺工事や地盤条件、排水状況など、さまざまな要因が関係している場合があります。そのため、ニュースで紹介された事例をそのまま自宅に当てはめて不安になる必要はありません。
大切なのは、こうしたニュースをきっかけに、自宅や実家の擁壁に危険な兆候がないかを確認しておくことです。
今回のニュースを受けて、本記事では擁壁のある家にお住まいの方に向けて、確認しておきたい危険なサインと異変に気づいたときの対応についてお伝えします。
擁壁崩落のニュースを見て気になるのは、「自宅や実家の擁壁は大丈夫なのか」という点ではないでしょうか。
擁壁は、道路より高い敷地、隣地との高低差がある土地、坂道の多い住宅地などで使われています。普段はあまり意識しない場所ですが、ひび割れや傾き、排水不良がある場合は、大雨や地震をきっかけに状態が悪化するおそれがあります。
特に、築年数の古い住宅では、擁壁がいつ造られたものなのか、どのような構造なのか分かりにくいケースもあります。
ニュースを見て必要以上に不安になる必要はありません。しかし、自宅や実家に擁壁がある場合は、一度、現状を確認しておくことが大切です。
擁壁が崩れると、壁の一部が壊れるだけでは済まないことがあります。擁壁は背面にある土を支えているため、崩落で土砂が流れ出すと、敷地の地盤や建物の基礎まわりに影響が及ぶおそれがあります。
特に、擁壁の近くに建物がある場合は注意が必要です。土砂の流出によって地盤が弱くなると、基礎まわりにすき間ができたり、建物の傾きや沈下につながったりする可能性があります。また、崩れた土砂やコンクリートが隣地や道路に流れ出せば、自宅だけでなく、近隣の建物、通行人、車両などに被害が及ぶこともあります。
擁壁の異変は、最初から大きな崩落として現れるとは限りません。ひび割れ、水の染み出し、ふくらみ、地面の沈みなど、小さな変化から始まることがあります。建物や敷地への影響を防ぐためにも、こうしたサインを早めに確認しておくことが大切です。
擁壁の安全性は、見た目だけで正確に判断できるものではありません。
ただし、ひび割れや傾き、水の染み出しなど、注意したいサインはいくつかあります。
擁壁に幅のあるひび、長く伸びているひび、段差のあるひびがある場合は注意が必要です。
細かな表面上のひびだけであれば、すぐに危険とは限りません。しかし、以前よりひびが広がっている、雨のあとにひびから水が出ているといった場合は、内部の劣化や排水不良が関係している可能性があります。
擁壁が外側にふくらんでいる、前に傾いている、押し出されているように見える場合は、危険なサインの1つです。
背面の土や水の圧力によって、擁壁に大きな負担がかかっている可能性があります。以前と比べて形が変わって見える場合は、早めに確認した方がよいです。
雨のあとに擁壁の表面から水が染み出している場合は、擁壁の背面に水がたまっている可能性があります。
特に、ひび割れ部分から水が出ている、擁壁の一部だけが長時間濡れている、足元から泥水が流れているような場合は注意が必要です。
擁壁には、背面にたまった水を外に逃がすための水抜き穴が設けられていることがあります。
この水抜き穴が土、落ち葉、草、ゴミなどで詰まっていると、擁壁の内側に水がたまりやすくなります。水抜き穴がふさがっていないか、雨のあとに水が適切に抜けているかを確認しておきましょう。
擁壁そのものだけでなく、擁壁の上や足元の地面にも注意が必要です。
地面が沈んでいる、擁壁と地面の間にすき間がある、足元の土が流れている、舗装や土間コンクリートにひびが入っている場合は、擁壁の背面や周辺地盤に変化が起きている可能性があります。
擁壁にひび割れがあると、表面をモルタルで埋めて補修すればよいと考えるかもしれません。
しかし、擁壁のひび割れは、表面だけの問題とは限りません。内部の劣化、鉄筋の腐食、排水不良、背面からの土圧や水圧などが関係している場合もあります。その場合、表面だけを補修しても、ひび割れの原因が残ったままになることがあります。
見た目は一時的にきれいになっても、再びひび割れが出たり、擁壁全体の安全性に不安が残ったりする可能性があります。
大切なのは、ひび割れの原因に対する対処をすることです。
ひび割れの大きさ、擁壁の傾きやふくらみ、水の染み出し、水抜き穴の状態、擁壁まわりの地面の沈みなどをあわせて見なければ、表面の補修で済む状態なのか、より詳しい調査が必要なのかを判断できません。
擁壁は土地を支える構造物ですので、ひび割れや劣化が気になる場合は、自己判断で表面だけを直すのではなく、必要に応じて自治体や専門家に相談することが大切です。
擁壁に大きなひび割れや傾き、水の染み出しなどがある場合、まずは安全面の確認が必要です。
危険性が高いと感じる場合は、無理に近づいたり、自分で補修したりせず、自治体の建築指導課や宅地造成に関する窓口、専門家に相談してください。
ただし、擁壁の問題は「補修すれば終わり」とは限りません。
擁壁の状態によっては、補修や造り替えに大きな費用がかかることがあります。また、建物が古い場合や空き家になっている場合、相続した実家を今後どうするか迷っている場合は、擁壁だけでなく、不動産全体として判断する必要があります。
たとえば、次のようなケースでは、早めに今後の方針を考えておいた方がよいでしょう。
住み続けるために補修を検討する方法もありますが、今後使う予定がない不動産であれば、売却や買取を含めて考えることも1つの選択肢です。
特に、擁壁がある不動産は、買主が不安を感じやすく、一般的な売却では調査や説明、価格調整が必要になることがあります。
だからこそ、擁壁に不安がある不動産は、早い段階で状態を確認し、補修するのか、管理を続けるのか、売却を検討するのかを整理しておくことが大切です。
擁壁崩落のニュースは、決して他人事とは言い切れません。
ただし、報道されている個別の事故には、それぞれ異なる原因や背景があります。ニュースで紹介された事例をそのまま自宅に当てはめて不安になるのではなく、自宅や実家の擁壁に危険なサインがないかを確認することが大切です。
大きなひび割れ、ふくらみ、傾き、雨のあとの水の染み出し、水抜き穴の詰まり、擁壁まわりの沈みやすき間などは、見逃したくないサインです。
また、表面のひびを埋めるだけでは、内部の劣化や排水不良などが残ることもあります。気になる異変がある場合は、自己判断で済ませず、状態や原因を確認することが大切です。
特に、相続した家、空き家、今後住む予定のない不動産に古い擁壁がある場合は、安全面だけでなく、今後の管理や売却にも関わる問題になります。
三共住販では、擁壁のある不動産や老朽化した建物がある不動産についてのご相談も承っています。
「擁壁がある家を相続したが、どうすればよいか分からない」
「古い擁壁があるため、売却できるか不安」
「補修して所有し続けるべきか、売却を考えるべきか迷っている」
このようなお悩みがある場合は、今後の選択肢を整理するためにも、お気軽にご相談ください。