階段の上り下りが大変で1階にキッチンを追加した戸建て住宅

2025年2月17日 |  リフォーム事例

横浜市港南区の三共住販株式会社です。

今回は、2階にキッチンがある戸建て住宅の1階に、キッチンを追加で設置した事例をご紹介します。

キッチン設置のご依頼内容

ご依頼いただいたお宅は、2階にキッチンとリビング、1階に寝室がありました。

お住まいの方が高齢になり、1階と2階の上り下りが大変になってきて、1階の寝室で過ごすことが多くなってきたこと。飼っている犬も年を取って同じように大変そうに見えることから、1階で料理ができるように寝室にキッチンを新設したいということでした。

もともと結構料理をされる方なので、2階のキッチンは撤去せずそのままにして、手間のかかる料理は2階のキッチンで行う。その日の自分の食事や日常の料理は、寝室内に新設するキッチンで行う。そのような使い方をされるということでした。

コンロはIHを採用

当初、お客様のご要望はガスコンロでした。

しかし、お子様たちからガスコンロは危ないと反対されて、IHになりました。

最近のガスコンロは、Siセンサーと呼ばれるセンサーを搭載しており、「調理油過熱防止装置」、「立消え安全装置」、「消し忘れ消火機能」の3つの安全機能が標準装備されています。

「調理油過熱防止装置」は、油の温度が250℃を保つよう火力を調節し、過熱による発火を防ぐものです。「立消え安全装置」は、煮こぼれなどで火が消えても自動でガスを止めてガス漏れを防ぐものです。「消し忘れ消火機能」は、火を消し忘れたときに自動で消化するものです。

機種によっては、他にも便利な装置が付いています。しかし、火を使うことに変わりがないため、料理中の火傷や最悪の場合は火災のリスクもあります。お子様たちからすると、高齢の親御様が火を使うことを心配されて、安心して使えるIHにすることを薦められたということです。

システムキッチンの選定

手間のかかる料理は2階で、1階は日常的な料理がメインになることから、コンパクトなキッチンにしました。また、結構料理をされる方ですので、賃貸物件に設置されているような収納が開き戸タイプ(左右に開く)ではなく、引き出しタイプになっているグレードのキッチンにしました。

引き出しタイプは、調理器具を効率よく収納でき、取り出しやすいので、収納面や使いやすさの面で開き戸タイプと比べて利便性が高くなるためです。

1階寝室へのキッチン設置工事

工事前の養生

寝室内に置いてあるテレビや寝具などの家具が汚れないように、しっかり養生してからキッチン設置のための工事を開始します。

キッチン工事前の養生

キッチン設置場所の確保

キッチンを設置する場所にはテレビがあるため、テレビは寝室内の他の場所に移動します。キッチンの横に冷蔵庫を置く予定の場所にテレビのアンテナがあるため、テレビを移動する場所にアンテナを移設します。また、冷蔵庫用の電源が必要になることからコンセントを増設します。

キッチン設置位置
キッチン設置位置2
アンテナ移設・コンセント増設工事1
アンテナ移設・コンセント増設工事2

給排水・電気・換気設備の工事

キッチンを設置するには、給排水・電気・換気設備の工事が必要になります。

給排水は、キッチン台で隠れる場所で床を開口して配管作業をします。

キッチン床開口

キッチン設置予定の場所の壁の裏側が浴室の脱衣所になっていて浴室が近いため、給水・給湯管は浴室から分岐させて、床下から引き込みます。排水管は同じく壁の裏側に洗濯排水があるため、洗濯排水の排水管に繋ぎます。

給水・給湯管床下引き込み
洗濯排水と接続

電気は、脱衣所のところにブレーカーがあるため、そこから電源を取り、ユニットバスの天井点検口から配線作業をします。下の写真の紫がレンジフードの取り付け位置、黄色がレンジフードのコンセント配線、赤がキッチン台設置位置、青がIHの200V配線になります。

換気設備は、換気扇を取り付けるため、下の写真の青丸部分を開口してダクト配管をします。

この後説明するキッチンパネルを取り付けた後、開口部に通したダクトの先にエルボーのダクトを繋いで、その先に換気扇を接続します。

キッチンパネルの取り付け

壁を油汚れや水はね、熱から守るため、キッチンパネルを取り付けていきます。

システムキッチンの設置

床に固定するベースキャビネットを設置して、フレームを組み立てていきます。

吊戸棚を設置します。

ワークトップ(天板)をキャビネットにしっかり固定して設置します。IH用の開口部にIHをはめ込み、IH用の200Vの配線を接続します。シンク部分の開口部にシンクを設置し、シリコンコーキングで防水処理をします。給水・給湯管を蛇口に繋いで、排水トラップを設置して洗濯排水と繋ぎます。

最後に動作確認・試運転して、問題がなければ完成となります。

補足

1階の寝室にキッチンを設置したわけですが、お客様としては来客があったときに1階の寝室をワンルーム的に使って過ごしたいということでしたので、キッチンとベッドとの間に天井付けのカーテンレールを付けて、カーテンで仕切れるようにしました。

1階寝室にキッチン設置工事を終えて

キッチンを設置する場合、必要となる給排水の取り回しが容易か、電源が取りやすいか、といったことが工事に大きく影響してきます。

今回の物件は、キッチン設置予定の壁の裏側が浴室の脱衣所になっていて、浴室が近く給水給湯管の取り回しが容易、洗濯機の設置場所も近く排水管も取り回しが容易、脱衣所にブレーカーがあり電源の確保が容易でした。また、床下の高さがあったため動きやすく、配管作業がやりやすかったです。さらには、1階に駐車スペースがあり、作業場の確保ができたのも作業のしやすさに繋がりました。

今回のケースのように、親御様が戸建てに住んでいて、年齢と共に1階と2階の移動が大変になり、当初の間取りでは生活に支障をきたすこともあると思います。トイレが1階にしかなく、2階にもトイレを設置するというのはよくあるケースですが、今回のようにリビングとキッチンが2階にあるけど、1階にリビング機能をもたせてキッチンも1階にしたい、というケースも増えていく気がします。

日々の生活に関することですので、今回の工事で生活動線が変えることで、より快適な毎日を送っていただけるようなったら嬉しいです。

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